直線上に配置

<東京都への要望書(2009年)の紹介> 
  要望書                          
                                 2009年7月15日
              全国視覚障害児(者)親の会東京支部

 障害者自立支援法は、施行直後から特別対策、緊急措置と毎年手だてをとらなければならない内容であり、見直しの法案も国会で審議されていますが、もともと障害者自立支援法は障害者に負担を強いており、そのあり方も頻繁にかわるなど、障害者の現在とこれからの将来にとって憂うべき事態が続いています。
 私たち視覚障害児(者)の親は、視覚に障害をもった子供たちがすこやかに社会生活をおくっていくことができるように、学齢期や卒業後の社会参加のなかで、その持てる力がのばされ、成長していくことを望んでいます。
 そうした中で、社会での障害者施策は様々にすすめられていますが、実際のところ視覚障害者にかかわるものがまだ限られています。私たちは障害者施策をよりつよめてもらうとともに、それが視覚障害者に十分な配慮されたものであることを切に望んでおります。
 ところが、2006年4月より施行された障害者自立支援法は、全ての障害者に原則1割の負担をもとめており、障害が重く利用が多い障害者の負担が重くなり、所得の範囲や資産要件など、障害者の生活をおびやかす内容となっています。私たちがこのような制度をやめるように声をあげてくる中で、昨年より所得段階区分は世帯単位から本人単位になりました。私たち親の会が昨年に第一に要望した資産要件の撤廃は、東京都としても国に撤廃を要望してもらい、7月より撤廃されました。ありがとうございました。
 このようなことをふまえて、障害者、そして視覚障害者の現在と将来のために東京都に次のことを要望いたします。


                                  
福祉保健局関係                       
1.障害者自立支援法における利用者負担について1割の定率負担を法文上も実際でも明確にやめて、負担能力に応じた負担としてください。そのことを国に要望してください。
2.障害者自立支援法での事業者への支払いを、月払い方式にもどしてください。障害者施設では利用者が通院や本人の状況等で通所を休むことは多々あります。それを事業者へ支払う報酬に反映させるのは事業所の運営を困難にしています。このことが障害福祉サービスの維持を困難にして利用者が困ります。
 このやり方の考えには、「利用者原則1割負担」を利用者にもとめ、その負担への根拠としての日々のサービス量の計算と事業所への日払い方式があります。この「利用者原則1割負担」を明確にやめて、利用したサービス量への負担ではなく、その負担能力に応じた「応能負担」にすれば月払い方式にもどすことができます。障害者自立支援法の見直し案で「応能負担を原則に」(法律案の概要:厚労省)が掲げられています。「応能負担」で月払い方式にもどすべきです。そのことによって事業所の運営を安定化をはかることができます。事業所の運営が不安定になると、障害者への理解のある専門性をもった職員が安定して集まらず、利用者への不安定なサービスの提供となってしまいます。また、現在の日払い方式では煩雑な事務量がもとめられ、この面からも運営を困難にしています。このことも月払い方式にもどすことでなくせます。
 「応能負担を原則に」が掲げられている現在、ぜひ月払い方式にもどすことを都として国に要望し働きかけてください。当面、都として日払い方式で減額された分への助成を「減収の著しい事業者」だけでなく、減額で困難な事業者すべてにおこなってください。
3.障害福祉サービスの報酬単価を引き上げてください。障害者に相対しながらおこなう重要な業務に見合う報酬をだせ、必要な人材を確保し事業の質を維持できる額に引き上げてください。少なくとも介護保険での報酬単価より低いといわれている状況はなくしてください。このことを国に要望してください。また、都としての補助・加算をおこなってください。
4.今年の4/1より報酬単価が、「プラス5.1%の改定」とされたとしています。しかし、ショートステイとしての短期入所は、「短期入所を利用する日に他の日中活動系サービスを利用する場合の報酬区分を新設」といって、それが適用されると今までの報酬単価が約35%の切り下げ(区分6で890→581へと35%の減)となっています。もともと低い今までの報酬単価を「日中活動系サービスを利用」することを理由に、今までの報酬単価を35%引き下げることは、やめてください。このようなやり方ではショートステイはふえません。ショートステイの維持がむずかしくなり、私たち利用者がこまります。
 現在、日中に通所施設にかよい短期入所を利用している者が多くいる現状を見ていないものです。もしこの新設をするのであればその新設の報酬単価は今までのままで下げずにおき、「他の日中活動系サービスを利用」しない時の報酬単価を引き上げるべきです。
 今回の「プラス5.1%の改定」の趣旨を生かすためにも、障害者が利用している実際に即して改定してください。そのことを国に要望してください。今回の減算分への補てんを都として行ってください。
5.現在の障害程度区分認定は、障害者の現状を反映させたものとはなっていません。現在の介護保険の要介護認定調査項目をベースにした認定では、障害者の現状を反映できません。障害者の現状を反映したものにかえてください。「障害支援区分」などと名前をかえるよりも内容をかえることです。特に視覚障害については、視覚障害に係わる生活全般への影響、実際の困難が明確には反映されていません。視覚障害に係わる現状が反映するものにかえてください。そのために都として、国にあらためて働きかけてください。
6.居住支援としてのケアホームについてです。第2期東京都障害福祉計画・東京都障害者計画においてケアホームの事業計画は、「グループホーム等」「グループホーム・ケアホーム」などとあわせた計画になっていてケアホームについての独自の計画は明確になっていません。第2期計画での「見込量及び利用者数」についても「グループホーム・ケアホーム」が第1期計画と同様に一項目にくくられています。ケアホームは、介護給付で重度対応として生活支援員を配置させる共同生活介護であり、グループホームは、訓練等給付の共同生活援助です。障害者自立支援法で求められている計画の範囲にとどまらず、重度対応として求められているケアホームについての独自の事業計画を明確にもってください。
 また、その計画も地域で生活するということから、都としては各区市町村に各自治体内で居住する整備計画を独自に持たせてください。「利用決定者数」ということで自分の地域で生活しないものを含む計画ではなく、「自治体内居住」の「利用決定者数」を持たせてください。
7.移動支援について、学校の送迎でも利用できる区市町村のバラツキがでています。学校の送迎に利用できる区市町村をふやすように働きかけてください。
8.就労移行支援に盲学校の卒業生で卒業時に希望するものが利用できるように整備をすすめてください。2008年度において2007年度の特別支援学校卒業生を受け入れて就労移行支援事業をおこなった区市町村はどこか教えてください。2009年度の見通しも教えてください。
9.都のおこなっている心身障害者の医療費の助成制度を維持し、現行の障害者本人に負担がなく医療にかかれる制度をひきつづき堅持してください。
10.点字使用の視覚障害者へ都および区市町村がだす書類は、点字でだしてください。とくに、手当の支給に関する書類や、期日のある更新手続きに関するものはとくに必要です。まずは、封筒に役所名担当課名だけは点字を記載してください。SPコードの文書を増やしてください。東京都障害者会館の視覚障害者文字サービス室の利用枠を増やしてください。
11.医療的ケアを必要とする障害者が、短期的にまた一時的に利用できる場所をふやしてください。
12.ショートステイ(短期入所)の利用できる場所をふやしてください。「障害者の就労支援・安心生活基盤整備3か年プラン」(H21〜23年度)の初年度での実施予定の区市町村別の新設・増員事業所数とその増員数を教えてください。
13.特別養護老人ホームでのマッサージ師雇用のための補助金をひきつづきカットしないでください。
14.福祉のまちづくり条例での視覚障害者用の点字誘導ブロックへの理解啓発をはじめとする視覚障害者へのマナーの喚起や広報、白杖への理解啓発、自転車使用者への白杖の周知啓発、盲学校周辺での所在の広報などをひきつづきつよめてください。区市町村に視覚障害者に関する理解啓発をおこなうように、ひきつづき働きかけてください。
15.視覚障害者の公共交通機関での安全な利用に欠かせない駅ホームでの可動式ホーム柵の設置をすすめてください。そのために都内の鉄道事業者に都としてはたらきかけてください。また、国にはたらきかけてください。都としては、都営地下鉄、都電での設置を具体的にすすめてください。その進捗状況と計画をおしえてください。


                                     
教育庁関係
1.視覚障害教育の独自性・専門性を確保し発揮できるための措置を具体的にとってください。第二次実施計画における視覚障害教育部門と知的障害教育部門の併置においての視覚障害教育の独自性・専門性の準備内容について具体的に教えてください。都の特別支援教育の中での視覚障害教育のあり方をしめしてください。
2.特別支援学校の「特別支援教育コーディネーター」は視覚障害者への教育をすすめる上でセンター的役割がもとめられ、ますます重要性がましています。地域への支援・援助もおこなう役割がもとめられおり、現在の定員内では在校児童生徒の学習や訓練に支障をきたします。体制の確立が肝心であり、特別支援教育コーディネーターの複数専任配置をおこなってください。そのために各校への指導をつよめてください。現在の各盲学校のコーディネーターの配置人数を、専任・兼任に分けて各盲学校別に教えてください。
3.盲学校の寄宿舎について、視覚障害者の通学を保障し、生活経験、社会性をまなぶ大事な教育の場であり、感覚障害としての視覚障害教育の特性にふさわしく「地域性を考慮した配置」として現在の寄宿舎を存続させ、統廃合等をおこなわないでください。すでに統合的運営をしている八王子盲学校の寄宿舎の職員の配置について寄宿舎生の安全の確保のために職員の加配をおこなってください。
4.卒業生で福祉就労を希望する場合、職業訓練や現場実習を充実させてください。卒後においての通所先として就労移行支援の事業所への通所をすすめてください。2008年度、2009年度の就労移行支援の事業所への通所の人数を学校別の区市町村別に教えてください。



                         
  
                            

                                        


「東京都への要請(2009年)の紹介」ページへもどる

「東京都への要請(2008年)の紹介」ページへもどる

「東京都への要請(2007年)の紹介」ページへもどる

「東京都への要請(2006年)の紹介」ページへもどる

「東京都への要請(2005年)の紹介」ページへもどる



トップ アイコントップページへもどる

直線上に配置