直線上に配置


<東京都への要請(2009年)と

               回答・質疑要旨の紹介>


                                     
 視覚障害児(者)親の会東京支部としての

                       東京都各部局への要請について

     

1.要請実施日  2009年8月26日(水)               

2.各部局への要請−要請順
 1)福祉保健局、2)教育庁
3.各部局への要請内容                          
 1)福祉保健局 
<要請内容>
1.障害者自立支援法における利用者負担について1割の定率負担を法文上も実際でも明確にやめて、負担能力に応じた負担としてください。そのことを国に要望してください。
2.障害者自立支援法での事業者への支払いを、月払い方式にもどしてください。障害者施設では利用者が通院や本人の状況等で通所を休むことは多々あります。それを事業者へ支払う報酬に反映させるのは事業所の運営を困難にしています。このことが障害福祉サービスの維持を困難にして利用者が困ります。
このやり方の考えには、「利用者原則1割負担」を利用者にもとめ、その負担への根拠としての日々のサービス量の計算と事業所への日払い方式があります。この「利用者原則1割負担」を明確にやめて、利用したサービス量への負担ではなく、その負担能力に応じた「応能負担」にすれば月払い方式にもどすことができます。障害者自立支援法の見直し案で「応能負担を原則に」(法律案の概要:厚労省)が掲げられています。「応能負担」で月払い方式にもどすべきです。そのことによって事業所の運営を安定化をはかることができます。事業所の運営が不安定になると、障害者への理解のある専門性をもった職員が安定して集まらず、利用者への不安定なサービスの提供となってしまいます。また、現在の日払い方式では煩雑な事務量がもとめられ、この面からも運営を困難にしています。このことも月払い方式にもどすことでなくせます。
「応能負担を原則に」が掲げられている現在、ぜひ月払い方式にもどすことを都として国に要望し働きかけてください。当面、都として日払い方式で減額された分への助成を「減収の著しい事業者」だけでなく、減額で困難な事業者すべてにおこなってください。
3.障害福祉サービスの報酬単価を引き上げてください。障害者に相対しながらおこなう重要な業務に見合う報酬をだせ、必要な人材を確保し事業の質を維持できる額に引き上げてください。少なくとも介護保険での報酬単価より低いといわれている状況はなくしてください。このことを国に要望してください。また、都としての補助・加算をおこなってください。
4.今年の4/1より報酬単価が、「プラス5.1%の改定」とされたとしています。しかし、ショートステイとしての短期入所は、「短期入所を利用する日に他の日中活動系サービスを利用する場合の報酬区分を新設」といって、それが適用されると今までの報酬単価が約35%の切り下げ(区分6で890→581へと35%の減)となっています。もともと低い今までの報酬単価を「日中活動系サービスを利用」することを理由に、今までの報酬単価を35%引き下げることは、やめてください。このようなやり方ではショートステイはふえません。ショートステイの維持がむずかしくなり、私たち利用者がこまります。
現在、日中に通所施設にかよい短期入所を利用している者が多くいる現状を見ていないものです。もしこの新設をするのであればその新設の報酬単価は今までのままで下げずにおき、「他の日中活動系サービスを利用」しない時の報酬単価を引き上げるべきです。
今回の「プラス5.1%の改定」の趣旨を生かすためにも、障害者が利用している実際に即して改定してください。そのことを国に要望してください。今回の減算分への補てんを都として行ってください。
5.現在の障害程度区分認定は、障害者の現状を反映させたものとはなっていません。現在の介護保険の要介護認定調査項目をベースにした認定では、障害者の現状を反映できません。障害者の現状を反映したものにかえてください。「障害支援区分」などと名前をかえるよりも内容をかえることです。特に視覚障害については、視覚障害に係わる生活全般への影響、実際の困難が明確には反映されていません。視覚障害に係わる現状が反映するものにかえてください。そのために都として、国にあらためて働きかけてください。
6.居住支援としてのケアホームについてです。第2期東京都障害福祉計画・東京都障害者計画においてケアホームの事業計画は、「グループホーム等」「グループホーム・ケアホーム」などとあわせた計画になっていてケアホームについての独自の計画は明確になっていません。第2期計画での「見込量及び利用者数」についても「グループホーム・ケアホーム」が第1期計画と同様に一項目にくくられています。ケアホームは、介護給付で重度対応として生活支援員を配置させる共同生活介護であり、グループホームは、訓練等給付の共同生活援助です。障害者自立支援法で求められている計画の範囲にとどまらず、重度対応として求められているケアホームについての独自の事業計画を明確にもってください。
また、その計画も地域で生活するということから、都としては各区市町村に各自治体内で居住する整備計画を独自に持たせてください。「利用決定者数」ということで自分の地域で生活しないものを含む計画ではなく、「自治体内居住」の「利用決定者数」を持たせてください。
7.移動支援について、学校の送迎でも利用できる区市町村のバラツキがでています。学校の送迎に利用できる区市町村をふやすように働きかけてください。
8.就労移行支援に盲学校の卒業生で卒業時に希望するものが利用できるように整備をすすめてください。2008年度において2007年度の特別支援学校卒業生を受け入れて就労移行支援事業をおこなった区市町村はどこか教えてください。2009年度の見通しも教えてください。
9.都のおこなっている心身障害者の医療費の助成制度を維持し、現行の障害者本人に負担がなく医療にかかれる制度をひきつづき堅持してください。
10.点字使用の視覚障害者へ都および区市町村がだす書類は、点字でだしてください。とくに、手当の支給に関する書類や、期日のある更新手続きに関するものはとくに必要です。まずは、封筒に役所名担当課名だけは点字を記載してください。SPコードの文書を増やしてください。東京都障害者会館の視覚障害者文字サービス室の利用枠を増やしてください。
11.医療的ケアを必要とする障害者が、短期的にまた一時的に利用できる場所をふやしてください。
12.ショートステイ(短期入所)の利用できる場所をふやしてください。「障害者の就労支援・安心生活基盤整備3か年プラン」(H21〜23年度)の初年度での実施予定の区市町村別の新設・増員事業所数とその増員数を教えてください。
13.特別養護老人ホームでのマッサージ師雇用のための補助金をひきつづきカットしないでください。
14.福祉のまちづくり条例での視覚障害者用の点字誘導ブロックへの理解啓発をはじめとする視覚障害者へのマナーの喚起や広報、白杖への理解啓発、自転車使用者への白杖の周知啓発、盲学校周辺での所在の広報などをひきつづきつよめてください。区市町村に視覚障害者に関する理解啓発をおこなうように、ひきつづき働きかけてください。
15.視覚障害者の公共交通機関での安全な利用に欠かせない駅ホームでの可動式ホーム柵の設置をすすめてください。そのために都内の鉄道事業者に都としてはたらきかけてください。また、国にはたらきかけてください。都としては、都営地下鉄、都電での設置を具体的にすすめてください。その進捗状況と計画をおしえてください。


                               

<回答、質疑要旨>                         
・1.について。障害者自立支援法において利用者負担は、1割を原則としており、その上で減免軽減等の対策をとっている。H20年7月よりの軽減など特別対策、緊急措置をとってきている。今後も都としては必要にに応じて国へ要望していく。
・2.について。H21年度よりの報酬単価の改定により日払い方式の補完として欠席時利用加算が月4回算定できるようになった。また、H21年度より月払い方式の9割を保障するようになった。H20年度までは8割の保障であった。都としては減額された分への補助は考えていない。
・3.について。報酬単価はH21年4月から5.1%増の改定がされている。国のH21年度補正予算においても人材確保の助成をおこなうようにしており、都としてもその準備をしている。ひきつづき国へ人材確保等の改善をはかるようにもとめていく。
・4.について。今回の報酬単価の改定の5.1%というのは、平均的な数字である。短期入所では、いままでその日に他の日中活動はできなかったが、それができるようになった。しかし額は不十分である。都としては国にたいしてH21年6月に「国の施策及び予算に対する東京都の提案要求」をだしている。
・5.について。障害程度区分認定は、全国一律に公平公正におこなうとしている厚労省の基準でおこなっている。国へ新たなしくみとして障害特性にあったものとしてできるようにもとめている。今後とも適切の対応していく。
・6.について。グループホール・ケアホームについて障害者自立支援法では利用者数を勘案して見込み量を定めるとしている。それにもとずいて立案し都としては、「障害者の就労支援・安心生活基盤整備3か年プラン」を作成した。今後とも身近なものとしてできるようにすすめていきたい。
・7.について。移動支援は、区市町村の地域生活支援事業として区市町村が判断してすすめている。都としては、1割の負担を3%に補助している。区市町村の自主的なものとして理解してもらいたい。
・8.について。就労移行支援は、身近な地域での就労にむけた支援としてH15年より区市町村で地域就労支援センターを設置し、H20年には35ヶ所で150名の視覚障害者を支援している。H21年8月には44区市町村で設置しており、全区市町村で設置していく。特別支援学校卒業生についてはつかんでいないが、ひきつづき支援していきたい。
・9.について。心身障害者の医療費の助成について都としては、区市町村民税の非課税者については負担はない。変更の予定はない。
・10.について。都としては、点字版としてH21年5月に「第2期東京都障害福祉計画」の「計画のあらまし」「視覚障害関連事業抜粋版」及び「障害者自立支援法のサービス利用について、H21年4月版」を作成した。また国はH21年度特別交付金として情報支援機器について区市町村にだしている。都として、SPコード作成マニュアルを作成し、研修を計画している。東京都障害者会館の視覚障害者文字サービス室については利用状況を見て対応していく。
・11.について。(療育係分代読)医療的ケアを必要とする障害者に対応できる短期・一時利用のできる施設は都立5、民間7である。
・12.について。短期入所施設は、H21年4月に154ヶ所628名で21名ふえた。報酬単価改定で、医療的ケアにたいして看護師の訪問看護の加算がはじまった。短期入所はH21〜23年に210名の整備にとりくむ。
・13.について。特養ホームでのマッサージ師雇用の一部補助の事業は、都として、H11年までに雇用していてH12年度以降も引き続き雇用している民設民営のところに実施している。H21年度もひきつづき実施しており、H22年度も検討していく。
・14.について。福祉のまちづくりにむけて、様々な機会にハード面ソフト面で理解啓発をすすめており、ユニバーサルデザイン福祉のまちづくりで区市町村を支援していく。
・15.について。(交通局分代読)都営については交通局が所管している。駅ホームでの可動式ホーム柵は、地下鉄では、三田線がH12年に全線設置、大江戸線は準備中でH25年度設置予定、浅草線、新宿線は検討している。都電は駅がせまく困難であり、点字ブロックを設置している。都としては、駅ホームでの可動式ホーム柵について所管はきまっていない。
・質疑の中で。(⇒は回答・応答)
駅ホームでの可動式ホーム柵の都での担当部著がきまっていないのはおかしい。鉄道事業者への都としての対応はどこか⇒駅のエレベーターは福祉のまちづくりとしてH8年からとりくんでいるが、駅ホームでの可動式ホーム柵はどこが担当かはっきりしない。福祉の観点もあるがユニバーサルデザインの関係もある。持ち帰らせてほしい。
日払い方式を月払い方式にかえるように国に要望してほしいが⇒国の報酬単価の改定は、日払い方式の維持を前提としている。都としては法律の動向をみながらスピーディーに対応していきたい。
・月払い方式の9割が保障されるのでよいとおもっているのではないか。9割ではやっていけない。事業の維持ができなく利用者にしわ寄せがくる。
欠席時利用加算は入所についても新たにあるのか⇒通所についてである。
医療的ケアを必要している障害者に対応できる短期・一時利用のできる施設が少ないが都立病院もへらしており、委託などの対応も考えているのか。


                          
 2)教育庁
<要請内容>
1.視覚障害教育の独自性・専門性を確保し発揮できるための措置を具体的にとってください。第二次実施計画における視覚障害教育部門と知的障害教育部門の併置においての視覚障害教育の独自性・専門性の準備内容について具体的に教えてください。都の特別支援教育の中での視覚障害教育のあり方をしめしてください。
2.特別支援学校の「特別支援教育コーディネーター」は視覚障害者への教育をすすめる上でセンター的役割がもとめられ、ますます重要性がましています。地域への支援・援助もおこなう役割がもとめられおり、現在の定員内では在校児童生徒の学習や訓練に支障をきたします。体制の確立が肝心であり、特別支援教育コーディネーターの複数専任配置をおこなってください。そのために各校への指導をつよめてください。現在の各盲学校のコーディネーターの配置人数を、専任・兼任に分けて各盲学校別に教えてください。
3.盲学校の寄宿舎について、視覚障害者の通学を保障し、生活経験、社会性をまなぶ大事な教育の場であり、感覚障害としての視覚障害教育の特性にふさわしく「地域性を考慮した配置」として現在の寄宿舎を存続させ、統廃合等をおこなわないでください。すでに統合的運営をしている八王子盲学校の寄宿舎の職員の配置について寄宿舎生の安全の確保のために職員の加配をおこなってください。
4.卒業生で福祉就労を希望する場合、職業訓練や現場実習を充実させてください。卒後においての通所先として就労移行支援の事業所への通所をすすめてください。2008年度、2009年度の就労移行支援の事業所への通所の人数を学校別の区市町村別に教えてください。



                                      
<回答、質疑要旨>                             
・1.について。現在の盲学校の4校体制は、配置バランスが保たれている。専門性の高い視覚障害教育をおこなっている。研修としては@指導的役割の発揮として国総研への派遣研修、A夏期休業時の校長会による大学より講師を呼んでの研修、B都研修センターでの初任者研修での視覚障害教育の分科会での研修、C4年次授業観察への視覚障害教育担当派遣の研修、D校内での研修の充実である。視覚障害教育のあり方としては、視覚障害特別支援学校以外の学校の視覚障害児等への対応や、H20年度より盲・ろう学校の教員の通級指導をおこなっている。
・2.について。特別支援教育コーディネーターの配置では、コーディネーターの複数配置で特別支援学校のセンター的役割をはかっている。小中の3校については週15時間の講師派遣の措置をとっている。特別支援教育コーディネーターの各校での人数は、文京−3名、葛飾−5名、久我山−5名、八王子−5名であり、昨年に比べて、、葛飾−1名、久我山−2名ふえている。全て兼任である。
・3.について。第二次実施計画におけて、寄宿舎は視覚障害の障害特性を考慮した配置となっている。安全性や機能性を配慮して併置も考えている。職員の加配については、国の基準をこえての配置は困難である。
・4.について。福祉就労を希望して就労移行支援の事業所に行ったのは、2008年度で文京1名(足立)、八王子4名(市内2、府中1、町田1)、2009年度で文京1名(足立)、八王子2名(清瀬1、日野1)である。
・質疑の中で。(⇒は回答・補足等)
専門性の研修といっているが、それぞれ修了人数をききたい。また、コーディネーターの果たす役割をどう考えているのか⇒コーディネーターの役割は関係諸機関と連携して計画をたてて調整してすすめていく、兼任でもできなくはないと考えている。各校のコーディネーターは、八王子は5学部で5名、文京は高等部2名・専攻科1名、葛飾・久我山は各5名でがんばっていると考える。
各校の盲免の取得人数について、また、東京の全国的な取得状況の位置についての資料について⇒検討して連絡する。
第三次計画はいつからか⇒H23年度からで、いま推計調査をしている。結果が10月末になり、それから検討に入る。



                                  
                
 尚、<回答、質疑要旨>については、視覚障害児(者)親の会東京支部の責任でまとめました。問い合わせ等は、視覚障害児(者)親の会東京支部へ行うようにしてください。
 ・視覚障害児(者)親の会東京支部への問い合わせメール

  


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