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<東京都への要望書(2010年)の紹介> 
  要望書                          
                                 2010年7月21日
            全国視覚障害児(者)親の会東京支部

 障害者自立支援法について、違憲訴訟団と国が基本合意文書において「国(厚生労働省)は、障害者自立支援法を、立法過程において十分な実態調査の実施や、障害者の意見を十分に踏まえることなく、拙速に制度を施行するとともに、応益負担(定率負担)の導入等を行ったことにより、障害者、家族、関係者に対する多大な混乱と生活への悪影響を招き、障害者の人間としての尊厳を深く傷つけたことに対し、原告らをはじめとする障害者及びその家族に心から反省の意を表明するとともに、この反省を踏まえ、今後の施策の立案・実施に当たる。」と明記しました。全くその通りであり、その実現を望みます。

 私たち視覚障害児(者)の親は、視覚に障害をもった子供たちがすこやかに社会生活をおくっていくことができるように、学齢期や卒業後の社会参加のなかで、その持てる力がのばされ、成長していくことを望んでいます。

 そうした中で、社会での障害者施策は様々にすすめられていますが、実際のところ視覚障害者にかかわるものがまだ限られています。私たちは障害者施策をよりつよめてもらうとともに、それが視覚障害者に十分な配慮されたものであることを切に望んでおります。

 このようなことをふまえて、障害者、そして視覚障害者の現在と将来のために東京都に次のことを要望いたします。

福祉保健局関係              

1.障害者自立支援法違憲訴訟団と国との基本合意にもとづき、障害当事者も参加した障がい者制度改革推進会議、総合福祉部会での議論をふまえ障害者自立支援法にかわる総合福祉法を期日(H25年8月)まで制定することを望みます。都としてこの動きをすすめるように働きかけてください。先の国会で廃案になった障害者自立支援法「改正案」は「新法までのつなぎ法案」と言いながら期限を定めず、障害当事者も参加してすすめている新法の取り組みを無視した障害者自立支援法の「延命法案」であり止めるべきです。都として止めるように働きかけてください。今すすめるべきは総合福祉部会が来年度概算要求としてだした「当面の課題」「重点課題」です。都としてすすめるように働きかけてください。

2.当面の障害福祉サービスの報酬単価を引き上げてください。障害者に相対しながらおこなう重要な業務に見合う報酬をだせ、必要な人材を確保し事業の質を維持できる額に引き上げてください。このことを国に要望してください。また、都としての補助・加算をおこなってください。また、「日払い方式」は「応益負担」の考えにもとづいており事業者の経営を圧迫し、人材の確保を困難にしています。「月払い方式」にもどしてください。このことを国に働きかけてください。

3.現在の障害程度区分認定は、障害者の現状を反映させたものとはなっていません。障害者の現状を反映したものにかえてください。「障害支援区分」などと名前をかえるよりも内容をかえることです。特に視覚障害については、視覚障害に係わる生活全般への影響、実際の困難が明確には反映されていません。視覚障害に係わる現状が反映するものにかえてください。そのために都として、国にあらためて働きかけてください。

4.居住支援の重度対応としてのケアホームについて、第2期東京都障害福祉計画・東京都障害者計画においては、「グループホーム等」「グループホーム・ケアホーム」などとあわせた計画になっています。障害者自立支援法がもとめている分け方ということの範囲ではなく、重度対応としてのケアホームの重要性にふさわわしく独自の計画もってください。また、住みなれた地域に住むということからも、「利用決定者数」ということで都外施設など自分の地域で生活しないものを含む障害者自立支援法にもとづく計画ではなく、「自治体内居住」の「利用決定者数」を持ってください。事務所を開設する上で必要なサービス管理責任者の実務経験について「盲学校、聾学校、養護学校の従事者」は認められています。「特別支援学級の従事者」を「その他これらの者に準ずると都道府県知事が認めた者」として認めてください。

5.移動支援について、学校の送迎でも利用できる区市町村をふやすように働きかけてください。作業所への送迎でも利用できるようにしてください。

6.就労移行支援に盲学校の卒業生で卒業時に希望するものが利用できるように整備をすすめてください。2009年度において2008年度の特別支援学校卒業生を受け入れて就労移行支援事業をおこなった区市町村はどこか教えてください。2010年度の見通しも教えてください。

7.都のおこなっている心身障害者の医療費の助成制度を維持し、現行の障害者本人に負担がなく医療にかかれる制度をひきつづき堅持してください。

8.点字使用の視覚障害者へ都および区市町村がだす書類は、点字でだしてください。まずは、封筒に役所名担当課名だけは点字を記載してください。手当の支給に関する書類や、期日のある更新手続きに関するものはとくに点字が必要です。点字文書作成を区市町村へ広げていく計画をおしえてください。SPコード作成の研修の実施参加状況と計画をおしえてください。東京都障害者会館の視覚障害者文字サービス室に希望の時間がとりづらいです。利用状況をおしえてください。利用枠を増やしてください。

9.医療的ケアを必要とする障害者が、短期的にまた一時的に利用できる場所が少ないです。もっとふやしてください。

10.ショートステイ(短期入所)の利用できる場所をふやしてください。「障害者の就労支援・安心生活基盤整備3か年プラン」(H21〜23年度)の到達と実施予定の区市町村別の新設・増員事業所数とその増員数を教えてください。

11.特別養護老人ホームでのマッサージ師雇用のための補助金をひきつづきカットしないでください。

12.福祉のまちづくり条例での視覚障害者用の点字誘導ブロックへの理解啓発、視覚障害者への理解啓発とマナーの喚起、白杖への理解啓発、自転車使用者への白杖の周知啓発、盲学校周辺での所在の広報などをひきつづきつよめてください。区市町村に視覚障害者に関する理解啓発をおこなうように、ひきつづき働きかけてください。

13.視覚障害者の公共交通機関での安全な利用に欠かせない駅ホームでの可動式ホーム柵について設置がはじまりましたが、まだテンポが遅いです。すすめてください。駅ホームでの可動式ホーム柵の都内での設置推進をはかってください。そのために都内の鉄道事業者に都としてはたらきかけてください。また、国にはたらきかけてください。都営地下鉄の設置をはやめてください。

教育庁関係              

1.東京都特別支援教育推進計画第三次実施計画(案)の骨子の中で、八王子盲学校が知的障害教育部門と併置することが提示されています。都立唯一の幼稚部から専門課程まである盲総合校が知的障害教育部門との併置は、視覚障害教育の専門性の確保の困難と教育現場の混乱を招くと考えます。この併置はやめてください。視覚障害教育における専門性の確保と視覚障害教育のあり方をしめしてください。昨年は要望後に、視覚障害特別支援学校教員の免許保有状況(H20.5.1現在)について学校別免許保有状況および都道府県別保有状況をお知らせ頂きありがとうございました。今年度の同様の資料を頂けたらとおもいます。保有状況の向上をすすめてください。

2.視覚障害者への教育をすすめる上で特別支援学校の「特別支援教育コーディネーター」はますます重要性がましています。視覚障害教育におけるセンター的役割がもとめられ、地域への支援・援助もおこなう役割ももとめられおり、現在の定員内では在校児童生徒の学習や訓練に支障をきたします。専任の特別支援教育コーディネーターの複数配置をおこなってください。そのために各校への指導をつよめてください。現在の各盲学校のコーディネーターの配置人数を、専任・兼任に分けて各盲学校別に教えてください。

3.盲学校の寄宿舎は、通学保障、生活経験と社会性の学習と教育の場であり、感覚障害である視覚障害教育の特性にふさわしく「地域性を考慮した配置」として現在の寄宿舎を存続させ、統廃合等をおこなわないでください。統合的運営をしている八王子盲学校の寄宿舎の職員の配置について寄宿舎生の安全の確保のために職員の常勤化はされましたが増員されていません。増員してください。

4.福祉就労を希望する生徒に対して、職業訓練や現場実習を充実させてください。卒後においての通所先として就労移行支援の事業所への通所をすすめてください。2009年度、2010年度の就労移行支援の事業所への通所の人数を学校別の区市町村別に教えてください。

                      
                   
                                          


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