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<東京都への要望書(2011年)の紹介> 
  要望書                          
                                 2011年8月3日
            全国視覚障害児(者)親の会東京支部

 障害者自立支援法は、昨年1月に違憲訴訟団と国で合意したように廃止され、この合意にもとづいた障害者制度の改革がすすむことを望みます。この合意にもとづいて内閣府に設置された障がい者制度改革推進本部と、そのもとで障害当事者が多く参加する障がい者制度改革推進会議での意見が尊重されるべきです。ところが、昨年12月に成立した改正障害者自立支援法は、障害当事者の意見や障がい者制度改革推進会議の議論をふまえずに強行され、国連障害者基本条約の国内批准にむけた障害者基本法の改正にむけても障害当事者や障がい者制度改革推進会議の意見を反映させたものではない改正案が衆議院を通過しました。障害当事者および障がい者制度改革推進会議の意見を反映させた制度改革をすすめることを切に望みます。
 私たち視覚障害児(者)の親は、視覚に障害をもった子供たちがすこやかに社会生活をおくっていくことができるように、学齢期や卒業後の社会参加のなかで、その持てる力がのばされ、成長していくことを望んでいます。
 そうした中で、社会での障害者施策は様々にすすめられていますが、実際のところ視覚障害者にかかわるものがまだ限られています。私たちは障害者施策をよりつよめてもらうとともに、それが視覚障害者に十分な配慮されたものであることを切に望んでおります。
 昨年、東京都に要望した東京都特別支援教育推進計画第三次実施計画(案)の骨子の中で示されていた八王子盲学校の知的障害教育部門との併置についてやめてくれたこと感謝します。
 このようなことをふまえて、障害者、そして視覚障害者の現在と将来のために東京都に次のことを要望いたします。

福祉保健局・都市整備局関係         
1.障害者制度改革について障害者自立支援法違憲訴訟団と国との基本合意にもとづき、障害当事者も参加した障がい者制度改革推進会議、総合福祉部会での議論をすすめ障害者自立支援法にかわる総合福祉法を予定期日(H25年8月)まで制定することを望みます。都として障害当事者の意見を尊重してすすめるように国に働きかけてください。
2.改正自立支援法により10/1より施行予定の同行援護について、円滑な実施ができるように働きかけてください。実施にあたり区市町村が現在支給している移動支援の支給量より国庫負担基準が低い場合は、「国庫負担基準が個々の利用者に対する支給量の上限になるものではない」という国の考え方から、現在の支給量が下がらないように働きかけてください。同行援護を必要とする視覚障害者の要望にこたえられる支給量を供給できる事業者および従事者をふやす対策をとってください。移動支援において学校の送迎に利用できた区市町村をひきつづき利用できるようにして、作業所への送迎でも利用できるように働きかけてください。
3.障害福祉サービスの報酬単価を引き上げてください。障害者に相対しながらおこなう重要な業務に見合う報酬をだせ、必要な人材を確保し事業の質を維持できる額に引き上げてください。このことを国に要望してください。また、都としての補助・加算をおこなってください。また、「日払い方式」は「応益負担」の考えにもとづいており事業者の経営を圧迫し、人材の確保を困難にしています。改正障害者自立支援法においても言葉の上では「応能負担」になっています。「月払い方式」にもどしてください。このことを国に働きかけてください。
4.障害程度区分認定は、介護保険を前提したもので障害者の現状を反映させたものとはなっていません。「障害支援区分」などと名前をかえるよりも内容をかえることです。特に視覚障害については、視覚障害に係わる生活全般への影響、実際の困難が明確には反映されていません。視覚障害に係わる現状が反映するものにかえてください。そのために都として、国にあらためて働きかけてください。
4.居住支援の重度対応としてのケアホームは、「グループホーム等」「グループホーム・ケアホーム」などと合わせた計画ではなく、障害者自立支援法がもとめている分け方の範囲ではなく、重度対応としてのケアホームの重要性にふさわわしく独自の計画もってください。「利用決定者数」ということで都外施設など自分の地域で生活しないものを含む障害者自立支援法にもとづく計画ではなく、「自治体内居住」の「利用決定者数」を持ってください。
5.改正障害者自立支援法で10/1より施行予定の「特定障害者特別給付費」としてのグループホーム・ケアホーム利用での家賃補助は、都独自の家賃補助とあわせて受けられるようにしてください。障害者にとってグループホーム・ケアホームの家賃負担は大変です。国の新たな助成が加わっても足りません。都独自の家賃補助は変わらず支給してください。
6.就労移行支援に盲学校の卒業生で卒業時に希望するものが利用できるように整備をすすめてください。2010年度において2009年度の盲学校卒業生を受け入れて就労移行支援事業をおこなった区市町村はどこか教えてください。2011年度の状況も教えてください。
7.都のおこなっている心身障害者の医療費の助成制度を維持し、現行の障害者本人に負担がなく医療にかかれる制度をひきつづき堅持してください。
8.点字使用の視覚障害者へ都および区市町村がだす書類は、点字で出してください。封筒に役所名担当課名は点字を記載してください。手当の支給に関する書類や、期日のある更新手続きに関するものは特に点字が必要です。点字文書作成を区市町村へ広げていく計画をおしえてください。SPコード普及をすすめてください。SPコード作成の研修の実施参加状況と計画を教えてください。
9.ショートステイ(短期入所)の利用できる場所を増やしてください。「障害者の就労支援・安心生活基盤整備3か年プラン」(H21〜23年度)の最終年度です。到達の見通しと実施予定の新設・増員事業所数とその増員数を教えてください。
10.特別養護老人ホームでのマッサージ師雇用のための補助金をひきつづきカットしないでください。
11.福祉のまちづくり条例での視覚障害者用の点字誘導ブロックの増設と理解啓発、視覚障害者への理解啓発とマナーの喚起、白杖への理解啓発、自転車使用者への白杖の周知啓発、盲学校周辺での所在の広報などをひきつづきつよめてください。区市町村に視覚障害者に関する理解啓発をおこなうように、ひきつづき働きかけてください。
12.視覚障害者が鉄道を安全に利用するうえで、ホームでの可動式ホーム柵(ホームドア)の設置は急がれます。今年の1月・7月に転落死亡事故がおきています。JR東日本の山手線での導入計画も発表されましたが、しかし、まだテンポが遅いです。これ以上の犠牲者がでてはいけません。駅ホームでの可動式ホーム柵(ホームドア)の都内での設置推進をはかってください。そのために都内の鉄道事業者に都として働きかけてください。また、国に働きかけてください。都営地下鉄での設置を早めてください。

                      
教育庁関係          
1.東京都特別支援教育推進計画第三次実施計画で、八王子盲学校を知的障害教育部門と併置することをやめてくれたことに感謝します。視覚障害教育における専門性の確保と視覚障害教育のあり方をしめしてください。昨年同様、盲学校教員の免許保有状況(H22.5.1現在)について学校別免許保有状況および都道府県別保有状況の資料を頂けたらとおもいます。専門性を高めるために保有状況の向上をすすめてください。
2.視覚障害者への教育をすすめる上で盲学校の「特別支援教育コーディネーター」は重要です。視覚障害教育におけるセンター的役割がもとめられ、地域への支援・援助もおこなう役割ももとめられ、現在の定員内では在校児童生徒の学習や訓練に支障をきたします。専任の特別支援教育コーディネーターの体制をつくってください。そのための各校への指導をつよめてください。現在の各盲学校のコーディネーターの配置人数を、専任・兼任に分けて教えてください。
3.盲学校の寄宿舎は、通学保障、生活経験と社会性の学習と教育の場であり、感覚障害である視覚障害教育の特性にふさわしく「地域性を考慮した配置」として現在の寄宿舎を存続させ、統廃合等をおこなわないでください。統合的運営をしている八王子盲学校の寄宿舎の職員を、寄宿舎生の安全の確保のために増員してください。
4.福祉就労を希望する生徒に対して、職業訓練や現場実習を充実させてください。卒後においての通所先として就労移行支援の事業所への通所をすすめてください。その事業所へ視覚障害への配慮を働きかけてください。2010年度、2011年度の就労移行支援の事業所への通所の人数を学校別の区市町村別に教えてください。

                      
                   
                                          


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