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<東京都への要請(2013年)と

               回答・質疑要旨の紹介>


                                     
 視覚障害児(者)親の会東京支部としての

                       東京都各部局への要請について

        

1.要請実施日  2013年9月18日(水)               

2.各部局への要請−要請順
 1)福祉保健局、都市整備局、交通局 2)教育庁
3.各部局への要請内容                          
 1)要望書の冒頭文
 
障害者総合支援法が4月に施行されましたが、これは国が2010年1月に障害者自立支援法違憲訴訟団と基本合意文書(以下:基本合意)を締結し、そこに明記された「障害者自立支援法を2013年8月までに廃止し、新たな総合的な福祉法制を実施する」というものにはなっていません。
そして、内閣府に設置された障がい者制度改革推進本部と、そのもとで障害当事者が多く参加する障がい者制度改革推進会議で確認された「障害者総合福祉法の骨格に関する総合福祉部会の提言」(以下:骨格提言)も多くは触れられてもいません。まさに法律名の「自立」を「総合」に変え、障害程度区分の「程度」を「支援」に変えるなどの「看板」の掛けかえをおこなったものであり、内容はほとんど変わっておりません。
 しかも来年4月施行の障害支援区分は、この「障害支援区分判定ロジックの確定」を目的とする事業を、大企業系の民間株式会社2社に業務委託をおこなっていることは、国がどう責任をもってすすめようとしているのか重要な疑問をもちます。しかもその委託された事業実施マニュアルにおいて『「障害程度区分基準時間」と呼ばれる介護の手間の測定尺度』と障害者への対応を「手間」呼ばわりすることは看過できません。
 こうしたことは、骨格提言やこれから批准しようとしている国連の障害者権利条約の内容をふまえたものとはいえません。基本合意、骨格提言、障害者権利条約をふまえ障害当事者の意見を反映させた制度改革をすすめることを切に望みます。
 私たち視覚障害児(者)の親は、視覚に障害をもった子供たちがすこやかに社会生活をおくっていくことができるように、学齢期や卒業後の社会参加のなかで、その持てる力がのばされ、成長していくことを望んでいます。
 そうした中で、社会での障害者施策は様々にすすめられていますが、実際のところ視覚障害者にかかわるものがまだ限られています。私たちは障害者施策をよりつよめてもらうとともに、それが視覚障害者に十分な配慮されたものであることを切に望んでおります。
 このようなことをふまえて、障害者、そして視覚障害者の現在と将来のために東京都に次のことを要望いたします。


 2)福祉保健局、都市整備局、交通局
 

<要請内容(数字以下)、回答・質疑要旨>
1.障害者制度改革をすすめるにあたり、都として基本合意や骨格提言をふまえ障害当事者の意見を尊重してすすめるように国に働きかけてください。
・回答要旨・国は段階的に施策をすすめており、国の社会保障審議会障害者部会で検討している。都民の生活実態にあわせたものになるように要請している。

2.
一昨年10月より施行された同行援護は、積極的にうけとめられていますが、供給体制については区市町村ごとのバラツキが多く、必要としても利用できない状況がでています。従事者の養成等を事業者まかせにすることなく都として働きかけてください。「利用しようとしてもヘルパーさんがいない」という状況をなくしてください。また、一人で移動が困難な視覚障害者の学校の送迎や作業所への送迎でも利用できるように国に働きかけてください。
・回答要旨・同行援護の事業者は、H25年4月で1173で前年比110増えている。事業者が整うまでは地域生活支援事業の移動支援の柔軟な運用で対応している。学校や作業所への通所は、国が対象外にしている。
・質疑の中で(⇒は回答要旨)・国はなぜ認めないか、ぜひ聞きたい⇒国は通年や長期にわたる外出は対象とならないとしている。

3.
障害福祉サービスの報酬単価を引き上げるように国に働きかけてください。障害者に相対する重要な業務に見合う賃金がだせ、必要な人材を確保し事業の質を維持できる額に引き上げてください。この業務を「介護の手間」と捉える考えを改め、真摯な業務と捉え、引き上げることを国に要望してください。また、都としての補助・加算をおこなってください。また、「日払い方式」は「応益負担」の考えにもとづいており事業者の経営を圧迫し、人材の確保を困難にしています。障害者総合支援法においても言葉の上では「応能負担」になっています。「月払い方式」にもどしてください。このことを国に働きかけてください。
・回答要旨・報酬単価は重複しない観点で国より必要なところに支給されている。施設系は日単位、訪問系は時間単位、相談系は月単位で行われている。都としては大都市の実情に合うように国に要請している。
・質疑の中で(⇒は回答要旨)・「介護の手間」と捉える考えについては⇒国は「標準的な支援の度合い」としている。

4.障害程度区分認定は、介護保険を前提したもので障害者の現状を反映させたものとはなっていません。ですから「介護の手間」という考えがでてくるのです。「障害支援区分」と名前だけが変わっても現行の手直しではかわりません。特に視覚障害については、視覚障害に係わる生活全般への影響、全盲や弱視、視野欠損、夜盲なども、現行・見直し案ともに「視力」の1項目だけであり、とても視覚障害者の実際の困難が反映されていません。視覚障害に係わる現状が反映するものにかえてください。そのために都として、国にあらためて働きかけてください。
・回答要旨・障害支援区分については広く意見を募集している。都として制度の動
向を見て適切に対処していく。
・質疑の中で(⇒は回答要旨)・視覚に対して変わってないが⇒国への意見でも身体についても出ており、国に全体を早期に公開するようにもとめている。

5.「障害者の地域移行・安心生活3か年プラン」の第1のグループホーム・ケアホームの整備において、重度対応としてのケアホーム整備をすすめてください。ケアホームのグループホームへの一元化にあたり、ケアホームの「介護」の内容がホームとしてできない危惧をもちます。外部事業者でなくホーム自身で行えるように国に働きかけてください。
・回答要旨・(居住支援課分代読)H24〜26の見込量を定め「障害者の地域移行・安心生活支援3ヶ年プラン」で1600人増にむけて、特別助成、ケアホーム創設での消防設備整備の補助などをおこなう。ケアホームのグループホームへの一元化について都は国に早期の情報提供をもとめている。

6.一昨年10月より実施された国のグループホーム・ケアホーム利用での家賃補助にあたり、都の家賃補助が減額されたことは大変遺憾です。障害者にとってグループホーム・ケアホームでの家賃負担は大変です。物価も上がってきています。国の新たな助成が加わっても足りません。都の家賃補助を元の額にもどしてください。
・回答要旨・グループホーム・ケアホームへの家賃補助は、国の実施で対象が利用者の50%から95%へひろがった。以前の都制度の方が国より高額であり、本人の手元に一定残るとも聞いていおり、現在の金額を維持していく。

7.都のおこなっている心身障害者の医療費の助成制度を維持し、現行の障害者本人に負担がなく医療にかかれる制度をひきつづき堅持してください。
・回答要旨・障害者の医療費への助成は、区市町村民税の非課税者について自己負担はない。この制度は今後も継続していく

8.点字使用の視覚障害者へ都および区市町村がだす書類は、点字で出してください。封筒に役所名担当課名は点字を記載してください。手当の支給に関する書類や、期日のある更新手続きに関するものは特に点字が必要です。また、選挙での選管よりの案内・入場券への点字シールの記載は区市町村でのバラツキがありるので働きかけてください。点字文書作成を区市町村へ広げていく計画をおしえてください。
・回答要旨・点字文書の作成は都や各区市町村でとりくんでおり、都としても点字の広報の発行等をおこなっている。H20から福祉局のホームページの音声読みを開始している。(選管分代読)投票所入場券は区市町村選管が発送し、点字シールを希望者に貼って送付している。点字シールは都選管で作成し、区市町村の説明会でも伝えている。引き続き区市町村へ働きかけていく。

9.短期入所(ショートステイ)を増やしてください。「障害者の地域移行・安心生活3か年プラン」の210名はどう増やすか教えてください。このプランでのH24年度の到達と今年度の見通し、実施予定の新設・増員事業所数とその増員見込み数を教えてください。
・回答要旨・ショートステイは、H25年4月の時点で210事業所823名の定員で昨年比61名ふえている。今年度の設置見通しについては随時相談は受けており確定していない。現在、210名に対した121名である。

10.特別養護老人ホームでのマッサージ師雇用のための補助金をひきつづきカットしないでください。
・回答要旨・特養ホームでのマッサージ師雇用の補助は、H12年から介護保険に移行する中で円滑に移行するための経営支援事業として実施している。H11年までに雇用してある者に対する補助で、民設民営の事務所への補助であり、来年度からについては事業の趣旨にもとずいて検討していく。

11.バリアフリー法、福祉のまちづくり条例にもとづきながら視覚障害者用の点字誘導ブロックの増設と理解啓発、視覚障害者への理解啓発とマナーの喚起、白杖への理解啓発、自転車使用者への白杖の周知啓発、盲学校周辺での所在の広報などをひきつづきつよめてください。点字誘導ブロックは、国の指針で歩道に設置となっていますが、歩行者・自転車専用道路でも設置できるようにしてください。また、鉄道事業者所有地の道路での設置への補助をだしてください。区市町村に視覚障害者に関する理解啓発をおこなうように、ひきつづき働きかけてください。
・回答要旨・区市町村道や鉄道用地道についての点字ブロック等の整備については、地域福祉推進区市町村包括補助事業として都はすすめている。
・質疑の中で(⇒は回答要旨)・その事業は⇒区市町村よりここを行いたいとあがってきてだす。歩道のないところでの点字ブロックの設置は世田谷で松蔭神社商店街、千歳烏山総合支所までがあり、都も働きかけてモデルをつくった。バリアフリ−基本構想が国よりもとめられており、区市町村に働きかけて行くことも大事。

12.視覚障害者にとって駅でのホームドアの設置は急がれます。この間もホームでの転落死亡負傷事故がつづいています。JR東日本の山手線での導入計画も、まだテンポが遅いです。建設過程で片側のみ設置のホームがありますが危険です。両側の同時設置をすすめてください。犠牲者をふやさないために、ホームドアの都内での設置推進をはかってください。そのために都内の鉄道事業者に都として働きかけてください。また、国に働きかけてください。都営地下鉄での設置を早めてください。
・回答要旨・駅ホームドアの設置の促進、転落防止柵の設置は鉄道事業者の責務である。ドアの位置の調整など膨大な整備費がかかるので、H23年より試行的補助をおこないに京王新宿駅で実施している。交通局は鉄道事業者であり、都営4線で転落防止、ホームドアの設置をすすめ、三田線はH12に、大江戸線はH25年6月予定を4月に完了した。浅草線、新宿線は、他社と相互乗り入れで技術的面での検討をすすめている。ホームドアと車両との調整は難しく電車は耐用約40年。
・質疑の中で。(⇒は回答要旨)・H23年よりの試行的補助で、昨年、東急大井町、小田急新宿で完了した。ホームドア戸袋の試行は、移動式(8月西武新所沢)、ロープ式(9・10月田園都市つきみ野)、バー式(10・11月相鉄弥生台)で行う。


                                  

   

                                      
 2)教育庁
<要請内容(数字以下)、回答・質疑要旨>
1.視覚障害教育において盲学校の特別支援教育コーディネーターは、視覚障害教育におけるセンター的役割がもとめられ、地域への支援・援助もおこなう役割ももとめられ、現在の定員内では在校児童生徒の学習や訓練に支障をきたします。専任の特別支援教育コーディネーターの体制をつくってください。そのための各校への指導をつよめてください。現在の各盲学校のコーディネーターの配置人数を、専任・兼任に分けて教えてください。
・回答要旨・特別支援学校のコーディネーターはセンター的役割から加配を行い、知的や知的と併置の12校に各1名の加配をおこなっている。視覚障害教育の専門性の確保は重要と考えている。視覚障害特別支援学校長の連絡会等でもコーディネーターの役割が果たせるように援助している。
・後日報告・コーディネーターの各校での人数:文京−6名、葛飾−2名、八王子−6名、久我山(視覚)−5名。全員兼任。

2.視覚障害教育における点字学習をつよめてください。知的障害のある子にも適切にすすめてください。昨年同様、盲学校教員の免許保有状況(H24.5.1現在)について学校別免許保有状況および都道府県別保有状況の資料を頂けたらとおもいます。専門性を高めるために保有状況の向上をすすめてください。
・回答要旨・視覚障害児への読み書きの段階にもとづいた指導・理解啓発のための指導の冊子をH24年3月に管理職へ配布した。知的障害児への点字学習は、H23よりICT活動で研究している。

3.デジタルを活用した視覚障害教育を小・中の時からより積極的に取り入れてください。三療以外の職業や社会参加への情報を伝え、自ら手にすることができるようにしてください。
・回答要旨・H23より筑波技短大と連携してICT機器を活用した指導をすすめており、進学希望、職業選択への指導をすすめている。

4.盲学校の寄宿舎は、通学保障、生活経験と社会性の学習と教育の場です。感覚障害である視覚障害教育の特性にふさわしく「地域性を考慮した配置」として現在の寄宿舎を存続させ、統廃合等をおこなわないでください。
・回答要旨・視覚障害者の寄宿舎は障害特性をふまえ、通学の安全性、地域性を考慮して配置をしている。現在、統廃合の計画はない。

5.福祉就労を希望する生徒に対して、職業訓練や現場実習を充実させてください。卒後においての通所先として就労移行支援の事業所への通所をすすめてください。その事業所へ視覚障害への配慮を働きかけてください。2012年度、2013年度の就労移行支援の事業所への通所の人数を学校別の区市町村別に教えてください。
・回答要旨・東京都特別支援教育推進計画第三次実施計画では、福祉就労もふくめて職業訓練や現場実習をすすめている。就労移行支援の事業所に行ったのは、H24年3月で0名、H25年3月で8名である。
・質疑の中で。(⇒は回答要旨)・就労移行支援の学校別の区市町村別は⇒文京3名(足立3名)、八王子5名(八王子、日野、府中、町田)である。

6.視覚障害者への理解すすめるために、都内の学校でおこなう交通安全教室・自転車教室等で白杖や視覚障害者への理解啓発をおこなってください。昨年要請した結果はどう実施されたか教えてください。
・回答要旨・交通安全教室は、教師用指導安全プログラムでおこない、必ず指導する基本事項に幼児、高齢者、障害のある人にどうするか考えるようにしている。H25より歩行者教育システムを小中42校、特別支援学校4校で行っている。


                                 




                               
                
 尚、<回答要旨、質疑要旨>については、視覚障害児(者)親の会東京支部の責任でまとめました。問い合わせ等は、視覚障害児(者)親の会東京支部へ行うようにしてください。
 ・視覚障害児(者)親の会東京支部への問い合わせメール

  


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