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<東京都への要請(2014年)と

               回答・質疑要旨の紹介>


                                     
 視覚障害児(者)親の会東京支部としての

                       東京都各部局への要請について

        

1.要請実施日  2014年9月8日(月)               

2.各部局への要請−要請順
 1)福祉保健局、都市整備局、交通局 2)教育庁
3.各部局への要請内容                          
 1)要望書の冒頭文
 
わが国において今年2月に発効した国連の障害者権利条約では「すべての障害者によるあらゆる人権及び基本的自由の完全かつ平等な享有」(第1条)、「障害者が、政策及び計画(障害者に直接関連する政策及び計画を含む。)に係る意思決定の過程に積極的に関与する機会を有すべき」(前文[O])が明記されています。
 ところが昨年4月に施行された障害者総合支援法は、国が2010年1月に障害者自立支援法違憲訴訟団と基本合意文書(以下:基本合意)を締結し、そこに明記した「障害者自立支援法を2013年8月までに廃止し、新たな総合的な福祉法制を実施する」というものではありません。法律としても自立支援法の継続の法律です(平成17年法律第123号)。
 また、内閣府に設置された障がい者制度改革推進本部と、そのもとで障害当事者が多く参加した障がい者制度改革推進会議で確認された「障害者総合福祉法の骨格に関する総合福祉部会の提言」(以下:骨格提言)の内容も多くは触れられてもいません。法律名の「自立」を「総合」に変え、障害程度区分の「程度」を「支援」に変えて106項目を80項目にしたり、ケアホームのグループホームへの一元化としつつ「介護サービス包括型」とするなどして、内容は継続され、基本合意や骨格提言が生かされたものとはなっていません。
 私たちは、障害者権利条約をふまえ障害当事者の意見を反映させた基本合意や骨格提言をふまえた制度改革をすすめることを切に望みます。
 私たち視覚障害児(者)の親は、視覚に障害をもった子供たちがすこやかに社会生活をおくっていくことができるように、学齢期や卒業後の社会参加のなかで、その持てる力がのばされ、成長していくことを望んでいます。
 そうした中で、社会での障害者施策は様々にすすめられていますが、実際のところ視覚障害者にかかわるものはまだ限られています。私たちは障害者施策をよりすすめてもらうとともに、それが視覚障害者に十分な配慮されたものであることを切に望んでおります。
 このようなことをふまえて、障害者、そして視覚障害者の現在と将来のために東京都に次のことを要望いたします。


 2)福祉保健局、都市整備局、交通局
       

<要請内容(数字以下)、回答・質疑要旨>
1.障害者制度改革をすすめるにあたり、都として障害当事者の意見をふまえた基本合意や骨格提言を尊重してすすめるように国に働きかけてください。
・回答要旨・国は法の附則に基づいて検討しており、検討では障害者や家族の意見も取り入れている。都は、国に障害者の生活実態にそくして効率的な仕組みにするとともに早期にその内容を示すように提案要望している。

2.
同行援護の供給体制は区市町村ごとのバラツキが多く、必要としても利用できない状況がつづいています。従事者の養成等を事業者まかせにすることなく都として働きかけてください。「利用しようとしてもヘルパーさんがいない」という状況をなくしてください。また、一人で移動が困難な視覚障害者の学校の送迎や作業所への送迎でも利用できるように報酬告示の改定を国に働きかけてください。
・回答要旨・同行援護の事業者は、H26年4月で1232で前年比59増えている。研修の質は国が確保しており、区市町村の説明会で周知をはかっている。国は学校や通勤などは対象外としている。H27年の報酬改定にむけて検討している。
・質疑の中で(⇒は回答要旨)・国のいう報酬告示を見たいが⇒はい。厚労省告示
   H18年第523号、該当分当日受領。

3.
障害福祉サービスの報酬単価を引き上げるように国にひきつづき働きかけてください。障害者に相対する重要な業務に見合う賃金がだせ、必要な人材を確保し事業の質を維持できる額に引き上げてください。また、都としての補助・加算を一層おこなってください。また、「日払い方式」は「応益負担」の考えにもとづいており事業者の経営を圧迫し、人材の確保を困難にしています。障害者総合支援法においても言葉の上では「応能負担」になっています。「月払い方式」にもどしてください。このことを国に働きかけてください。
・回答要旨・報酬単価は給付費でまかなえるように設定すべきものであり、都は人件費等で大都市の実情に合うように国に提案をし、H27報酬改定にむけている。日額報酬化は効果的な利用や複数サービスの利用の可が示されるなどしている。

4.障害程度区分認定は、介護保険を前提したもので障害者の現状を反映させたものとはなっていません。「障害支援区分」と名前を変え知的障害、精神障害を反映させるようにしたといっても現行のしくみはかわりません。特に視覚障害については、「視力」の1項目だけであり、視覚障害に係わる生活全般への影響、全盲や弱視、視野狭窄、夜盲、色弱などの多様な視覚障害の実際について反映されていません。視覚障害に係わる現状が反映するものにかえてください。そのために都として、国にあらためて働きかけてください。
・回答要旨・障害支援区分は新たな判断基準を示しており説明している。改定マニュアルの3−1でも「視覚」「ろう」等を示し意思決定への支援を行う。国に区市町村で円滑に利用できるよう要望している。

5.「障害者の地域移行・安心生活3か年プラン」の第1のグループホーム・ケアホームの整備において、重度対応としてのグループホーム整備をすすめてください。介護を必要とする視覚障害者への具体的な支援を都として取り組んでください。
・回答要旨・H24〜26の見込量を定め「障害者の地域移行・安心生活支援3ヶ年プラン」で1600人増にむけて、特別助成を行い重度への消防設備整備の補助をおこなう。グループホームの運営費の補助を「東京都障害者グループホーム施設事業取り扱い要領」で行っている。
・質疑の中で(⇒は回答要旨)・運営費補助の「都要領」のわかるものは⇒・都の障害者グループホームの説明会(5/30)資料がわかりやすい。同資料当日受領。

6.2011年10月より実施された国のグループホーム利用での家賃補助にあたり、都の家賃補助が減額されたことは大変遺憾です。障害者にとってグループホームでの家賃負担は大変です。物価も上がり、消費税も上がっています。臨時福祉給付金はまさに一時のものです。また、都が言う「物価も微減」「利用者の手元に残る」の根拠を教えてください。しかも国の支給は事業者にいって利用者の手元にはいきません。実際は足りていません。都の家賃補助を元の額にもどしてください。
・回答要旨・グループホームへの家賃補助は、国の実施で対象が利用者の50%から95%へひろがった。以前の都制度の方が国より高額であり、本人の手元に一定残るとも聞いていおり、物価も微減しており現在の金額を維持していく。
・質疑の中で(⇒は回答要旨)・物価も微減というが、今年消費税も上がり物価も上がっている。根拠はなにか⇒都総務局の資料でH22年を100とするとH23年99.4、H24年98.4、H25年98.3であり今年はまだである。もし今年上がったとしても石原都政の福祉改革の考え方があり、家賃助成も24000円が妥当でアッパーである。

7.都のおこなっている心身障害者の医療費の助成制度を維持し、現行の障害者本人に負担がなく医療にかかれる制度をひきつづき堅持してください。
・回答要旨・(代読)障害者の医療費への公費助成は、区市町村民税の非課税者について行い自己負担はない。今後とも現行の制度を継続していく。

8.点字使用の視覚障害者へ都および区市町村がだす書類は、点字で出してください。封筒への役所名担当課名の点字を記載は、依頼すればできるようになってきました。ありがとうございました。手当の支給に関する書類や、期日のある更新手続きに関するものは特に点字が必要です。ひきつづき点字文書作成をすすめてください。
・回答要旨・点字文書の作成は都や各区市町村でとりくんでおり、都としても点字の広報の発行等をおこなっている。福祉局のホームページの音声読みを開始している。都庁内の関係機関に働きかけている。

9.短期入所(ショートステイ)を増やしてください。「障害者の地域移行・安心生活3か年プラン」の210名はどう増やすか教えてください。このプランでのH25年度の到達と最終の今年度の見通し、実施予定の新設・増員事業所数とその増員見込み数を教えてください。
・回答要旨・ショートステイは、H25年度末の時点で216事業所838名の定員でH24年度末比24名ふえている。通所事業所でも実施できるようになったが新規開設等については確定してなく報告はひかえる。
・質疑の中で(⇒は回答要旨)・「3か年プラン」の210名をどうふやすか⇒9/1時で851名であり、あと半年で951名にするのはきびしい。

10.特別養護老人ホームでのマッサージ師雇用のための補助金をひきつづきカットしないでください。
・回答要旨・(代読)特養ホームでのマッサージ師雇用の補助は、H12年から介護保険に移行する中で円滑に移行するための経営支援事業として実施している。H11年までに雇用してある者に対する補助で、民設民営の事務所を対象にH26年度もひきつづき実施している。H27年度は事業の趣旨にもとずいて検討していく。

11.バリアフリー法、福祉のまちづくり条例にもとづきながら視覚障害者用の点字誘導ブロックの増設と理解啓発、視覚障害者への理解啓発とマナーの喚起、白杖への理解啓発、自転車使用者への白杖の周知啓発、盲学校周辺での所在の広報などをひきつづきつよめてください。エレベーター内での停止階等の音声案内の設置を、民間集合住宅での更新時や新設時での義務付けと都の補助を行ってください。区市町村に視覚障害者に関する理解啓発をおこなうように、ひきつづき働きかけてください。
・回答要旨・(代読)区市町村道等への視覚障害者の点字誘導ブロック等の整備をすすめている。エレベーター内での音声案内の設置は、適合に努めなければならない整備基準である。理解啓発については、福祉体験学習等にとりくみ支援している。
・質疑の中で(⇒は回答要旨)・エレベーターの適合に努める整備基準をみたいが⇒文書がある。都福祉のまちづくり条例・施設整備マニュアル、該当分当日受領。

12.視覚障害者にとって駅でのホームドアの設置は急がれます。この間もホームでの転落死亡負傷事故がつづいています。JR東日本の山手線での導入計画も、まだテンポが遅いです。建設過程で片側のみ設置のホームがありますが危険です。両側の同時設置をすすめてください。犠牲者をふやさないために、ホームドアの都内での設置推進をはかってください。そのために都内の鉄道事業者に都として働きかけてください。また、国に働きかけてください。都営地下鉄新宿線の2019年度設置を早め、浅草線の計画を早めてください。
・回答要旨・駅ホームドアの設置など安全性の強化は、基本的に鉄道事業者自らがおこなうものであり、都は鉄道事業者に働きかけ国に支援を要望している。国・都・市町村で補助を行い、H26年から10万以上の乗降客の駅から優先的に本格実施している。都営地下鉄はホーム上の安全対策をすすめ、ホームドア設置は、三田線、大江戸線では済み、新宿線は5月に京王電鉄との21全駅でH31年度の完了をめざして着手し調布の3駅で実施している。浅草線は4社と相互乗り入れしており検討をすすめている。
・質疑の中で(⇒は回答要旨)・JR山手線での設置を早められないのか⇒大規模改修駅(渋谷、浜松町等)以外は今年度から来年度で実施予定とのことである。


                                  

   

                                      
 2)教育庁
<要請内容(数字以下)、回答・質疑要旨>
1.視覚障害教育において盲学校の特別支援教育コーディネーターは、視覚障害教育におけるセンター的役割がもとめられ、地域への支援・援助もおこなう役割ももとめられており、現在の定員内では在校児童生徒の学習や訓練に支障をきたします。専任の特別支援教育コーディネーターの体制をつくってください。そのための各校への指導をつよめてください。現在の各盲学校のコーディネーターの配置人数を、専任・兼任に分けて教えてください。また、昨年との変化がある場合は、その理由を教えてください。
・回答要旨・特別支援学校のコーディネーターの配置は学校の実状をふまえて加配されている。各校への指導の中身は、毎年の説明会や視覚障害特別支援学校長の校長会などで確実に役割発揮ができるようにすすめている。各校のコーディネーターの人数:文京−6名、葛飾−2名、八王子−7名、久我山(視覚)−5名、全員兼任である。八王子で1名増えたのは、地域よりの要望をふまえ校長が判断した。
・質疑の中で(⇒は回答要旨)・昨年コーディネーターの加配の人数の報告があったが、加配の人数とその中での盲学校の人数を知りたい⇒後日連絡あり。12校に1名づつの加配で計12名、盲学校は久我山1校(1名)とのこと。

2.視覚障害教育の専門性を高めるための、盲学校教員の免許保有状況(H25.5.1現在)について学校別免許保有状況および都道府県別保有状況の資料を、昨年同様頂けたらとおもいます。ひきつづき保有状況の向上をすすめてください。
・回答要旨・資料は別紙受領。認定講習の受講をすすめ取得の向上をはかっている。講習の参加には現場3年以上の経験が必要で、実際の講習修了には2〜3年かかっている。

3.視覚障害教育における点字学習をつよめてください。知的障害のある子にも適切にすすめてください。デジタルを活用した視覚障害教育を小・中の時からより積極的に取り入れてください。三療以外の職業や社会参加への情報を伝え、自ら手にすることができるようにしてください。
・回答要旨・視覚障害の実状にみあってすすめる必要があり、知的障害のある子にも点字学習を、昨年まで筑波技大学と研究し、IC機器の活用などですすめている。

4.盲学校の寄宿舎は、通学保障、生活経験と社会性の学習と教育の場です。その重要性をふまえ、感覚障害である視覚障害教育の特性にふさわしい寄宿舎での生活のさらなる充実にむけて、都として支援をすすめてください。
・回答要旨・視覚障害者をうけいれる寄宿舎は障害特性をふまえ、地域性を考慮して配置をしている。

5.視覚障害をふまえた一般就労、福祉就労をすすめてください。就労にむけた職業訓練や現場実習をすすめてください。三療とともに三療以外の職業の情報を積極的に伝えてください。福祉就労を希望する生徒に対しては、就労移行支援の事業所への通所をすすめてください。その事業所へ視覚障害への配慮を働きかけてください。2014年度の就労移行支援の事業所への通所の人数を学校別の区市町村別に教えてください。
・回答要旨・福祉就労を適切な進路できめられるように都特別支援教育推進計画第三次実施計画にもとづいて就労先の拡大をはかり、現場実習をすすめている。就労移行支援の事業所に行ったのは、H26年3月で3名であり、八王子2名(世田谷、練馬)、文京1名(足立)である。

6.視覚障害者への理解すすめるために、都内の学校でおこなう交通安全教室・自転車教室等において白杖や視覚障害者への理解啓発をおこなってください。昨年要請した結果はどう実施されたか教えてください。
・回答要旨・交通安全教育の指導プログラムを全教員に配布し、交通安全教室を視覚障害児のための雪国教室や高齢者などにどう配慮するかを考えるようにすすめている。H26より青少年治安対策本部とともに小中42校、特別支援学校1校で行っている。


                                 




                               
                
 尚、<回答要旨、質疑要旨>については、視覚障害児(者)親の会東京支部の責任でまとめました。問い合わせ等は、視覚障害児(者)親の会東京支部へ行うようにしてください。
 ・視覚障害児(者)親の会東京支部への問い合わせメール

  


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