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<東京都への要望書(2015年)の紹介> 
  要望書                          
                                 2015年8月4日
            全国視覚障害児(者)親の会東京支部

 わが国において国連の障害者権利条約が発効して1年半がたち、来年2月に国連への政府報告の提出がもとめられ準備されています。障害者権利条約で明記された「すべての障害者によるあらゆる人権及び基本的自由の完全かつ平等な享有」、「障害者が、政策及び計画(障害者に直接関連する政策及び計画を含む。)に係る意思決定の過程に積極的に関与する機会を有すべき」等がどう実現されてきているかが問われています。
 一昨年に施行された障害者総合支援法は、国が2010年1月に障害者自立支援法違憲訴訟団と基本合意文書(以下:基本合意)を締結し、そこに明記した「障害者自立支援法を2013年8月までに廃止し、新たな総合的な福祉法制を実施する」というものではありません。法律としても自立支援法の継続の法律です(平成17年法律第123号)。
 また、内閣府に設置された障がい者制度改革推進本部と、そのもとで障害当事者が多く参加した障がい者制度改革推進会議で確認された「障害者総合福祉法の骨格に関する総合福祉部会の提言」(以下:骨格提言)の内容も多くは触れられてもいません。
 そうした中、改正された障害者基本法にもとづいて内閣府に設置された障害者政策委員会は、昨年、第2期委員が選出され半数が障害当事者・関係者となっており、障害者権利条約の実施促進・監視や、障害者基本計画の調査・監視等にとりくんでおり、その積極的活動が期待されます。
 私たちは、障害者権利条約をふまえ障害当事者の意見を反映させた基本合意や骨格提言をふまえた制度改革をすすめることを切に望みます。
 私たち視覚障害児(者)の親は、視覚に障害をもった子供たちがすこやかに社会生活をおくっていくことができるように、学齢期や卒業後の社会参加のなかで、その持てる力がのばされ、成長していくことを望んでいます。
 そうした中で、社会での障害者施策は様々にすすめられていますが、実際のところ視覚障害者にかかわるものはまだ限られています。私たちは障害者施策をよりすすめてもらうとともに、それが視覚障害者に十分な配慮されたものであることを切に望んでおります。
 このようなことをふまえて、障害者、そして視覚障害者の現在と将来のために東京都に次のことを要望いたします。


                       
福祉保健局・都市整備局・交通局関係
1.障害者制度改革をすすめるにあたり、都として国に障害者権利条約にもとづき障害当事者の意見をふまえた基本合意や骨格提言を尊重するよう働きかけてください。
2.同行援護の供給体制のバラツキをなくし、必要としても利用できない状況を解決してください。従事者の養成等を事業者まかせにすることなく都として働きかけてください。また、一人で移動が困難な視覚障害者の学校の送迎や作業所への送迎でも利用できるように報酬告示の改定や移動支援の運用を国や区市町村に働きかけてください。
3.障害福祉サービスの報酬単価を引き上げるように国にひきつづき働きかけてください。障害者に相対する重要な業務に見合う賃金がだせ、必要な人材を確保し事業の質を維持できる額に引き上げてください。また、都としての補助・加算を一層おこなってください。また、「日払い方式」は「応益負担」の考えにもとづいており事業者の経営を圧迫し、人材の確保を困難にしています。障害者総合支援法においても言葉の上では「応能負担」になっています。「月払い方式」にもどしてください。このことを国に働きかけてください。
4.障害の区分認定は、介護保険を前提して障害者の現状を反映させたものとはなっていません。「障害支援区分」と名前を変えてもしくみはかわりません。特に視覚障害については、「視力」の1項目だけであり、視覚障害に係わる生活全般への影響、全盲や弱視、視野狭窄、夜盲、色弱などの多様な視覚障害の実際について反映されていません。視覚障害に係わる現状が反映するものにかえてください。そのために都として、国にあらためて働きかけてください。
5.「障害者・障害児地域生活支援3か年プラン」の第1のグループホーム整備において、重度対応としてのグループホーム整備をすすめてください。介護を必要とする視覚障害者への具体的な支援を都として取り組んでください。
6.2011年10月より実施された国のグループホーム利用での家賃補助にあたり、都の家賃補助が減額されたことは大変遺憾です。障害者にとってグループホームでの家賃負担は大変です。物価も上がり、消費税も上がっています。都が言う「物価も微減」「利用者の手元に残る」の根拠を教えてください。しかも国の支給は事業者にいって利用者の手元にはいきません。都の家賃補助を元の額にもどしてください。
7.都のおこなっている心身障害者の医療費の助成制度を維持し、現行の障害者本人に負担がなく医療にかかれる制度をひきつづき堅持してください。
8.点字使用の視覚障害者へ都および区市町村がだす書類は、点字で出してください。封筒への役所名担当課名の点字を記載は、依頼すればできるようになってきました。申請期日のある書類の「申請期日あり」の封筒への点字記載をすすめてください。ひきつづき点字文書作成をすすめてください。
9.短期入所(ショートステイ)を増やしてください。「障害者の地域移行・安心生活3か年プラン」の210名の到達を教えてください。「障害者・障害児地域生活支援3か年プラン」の220名はどう増やすか教えてください。
10.特別養護老人ホームでのマッサージ師雇用のための補助金をひきつづきカットしないでください。
11.バリアフリー法、福祉のまちづくり条例にもとづきながら視覚障害者用の点字誘導ブロックの増設をすすめてください。特に地元で要望の出ている所の設置を支援してください。点字誘導ブロックや白杖への理解啓発、視覚障害者への理解啓発とマナーの喚起、自転車使用者への白杖の周知啓発、盲学校周辺での所在の広報などをひきつづきつよめてください。区市町村に視覚障害者に関する理解啓発をおこなうように、ひきつづき働きかけてください。
12.視覚障害者にとって駅でのホームドアの設置は急がれます。この間もホームでの転落死亡負傷事故がつづいています。JR東日本の山手線での導入計画も、まだテンポが遅いです。建設過程で片側のみ設置のホームがありますが危険です。両側の同時設置をすすめてください。都内の鉄道事業者に都として働きかけてください。また、国に働きかけてください。都営地下鉄新宿線の2019年度設置を早め、浅草線の計画を早めてください。駅ホームの入線時での行き先案内放送をしてください。特に行き先路線の違う電車の入線ホームは急いください。このことを鉄道事業者に働きかけてください。

                  
教育庁関係
1.東京都特別支援教育推進計画第三次実施計画においてコーディネーターの必要性と重要性はあきらかにされています。視覚障害教育において盲学校の特別支援教育コーディネーターは、視覚障害教育におけるセンター的役割がもとめられ、地域への支援・援助もおこなう役割ももとめられており、現在の定員内では在校児童生徒の学習や訓練に支障をきたします。専任の特別支援教育コーディネーターの体制をつくってください。そのための各校への指導をつよめてください。現在の各盲学校のコーディネーターの配置人数を、専任・兼任に分けて教えてください。また、昨年との変化がある場合は、その理由を教えてください。
2.視覚障害教育の専門性を高めるための、盲学校教員の免許保有状況(H26.5.1現在)について学校別免許保有状況および都道府県別保有状況の資料を、昨年同様頂けたらとおもいます。ひきつづき保有状況の向上をすすめてください。
3.視覚障害教育における点字学習をつよめてください。知的障害のある子にも積極的かつ適切にすすめてください。デジタルを活用した視覚障害教育を小・中の時からより積極的に取り入れてください。三療以外の職業や一般就労、社会参加への情報を伝え、自ら手にすることができるようにしてください。
4.盲学校の寄宿舎は、通学保障、生活経験と社会性の学習と教育の大切な場です。その重要性をふまえ、感覚障害である視覚障害教育の特性にふさわしい寄宿舎での生活のさらなる充実にむけて、都として支援をすすめてください。
5.視覚障害をふまえた一般就労、福祉就労をすすめてください。就労にむけた職業訓練や現場実習をすすめてください。三療とともに三療以外の職業の情報を積極的に伝えてください。進学や一般就労への道などの多様化に対応し、盲学校として職業開拓をすすめてください。福祉就労を希望する生徒に対しては、就労移行支援の事業所への通所をすすめてください。その事業所へ視覚障害への配慮を働きかけてください。2015年度の就労移行支援の事業所への通所の人数を学校別の区市町村別に教えてください。
6.視覚障害者への理解すすめるために、都内の小中学校でおこなう交通安全教室・自転車教室等において白杖や視覚障害者への理解啓発をおこなってください。昨年要請した結果はどう実施されたか教えてください。

                        
                   
                                          


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