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<東京都への要請(2016年)と

               回答・質疑要旨の紹介>


                                     
 視覚障害児(者)親の会東京支部としての

                       東京都各部局への要請について

        

1.要請実施日  2016年9月12日(月)               

2.各部局への要請−要請順
 1)福祉保健局、都市整備局、交通局 2)教育庁
3.各部局への要請内容                           
 1)要望書の冒頭文
 
わが国において国連の障害者権利条約が発効して2年半がたち、障害者権利条約で明記された「すべての障害者によるあらゆる人権及び基本的自由の完全かつ平等な享有」、「障害者が、政策及び計画(障害者に直接関連する政策及び計画を含む。)に係る意思決定の過程に積極的に関与する機会を有すべき」等がどう実現されてきているかがまさに問われています。
  改正障害者総合支援法が国会で5/25に可決成立しましたが、その内容は、国が2010年1月に障害者自立支援法違憲訴訟団と基本合意文書(以下:基本合意)を締結し、そこに明記した「障害者自立支援法を2013年8月までに廃止し、新たな総合的な福祉法制を実施する」というものではなく、法律としても自立支援法の継続の法律です(平成17年法律第123号)。
  今回の改正でも、内閣府に設置された障がい者制度改革推進本部と、そのもとで障害当事者が多く参加した障がい者制度改革推進会議で確認された「障害者総合福祉法の骨格に関する総合福祉部会の提言」(以下:骨格提言)の内容も多くは触れられてなく、特に「65才問題」では、基本合意の「介護保険優先原則(障害者自立支援法第7条)を廃止し、障害の特性を配慮した選択制等の導入をはかること」とはなっていません。
  障害者差別解消法が4/1より施行され、障害者への合理的配慮がよりもとめられています。そうした中、障害者基本法により内閣府に設置された障害者政策委員会は、半数が障害当事者・関係者となっており、障害者権利条約の実施促進・監視や、障害者基本計画の調査・監視等にとりくんでおり、その積極的活動が期待されます。
  私たちは、障害者権利条約をふまえ障害当事者の意見を反映させた基本合意や骨格提言をふまえた制度改革をすすめることを切に望みます。
  私たち視覚障害児(者)の親は、視覚に障害をもった子供たちがすこやかに社会生活をおくっていくことができるように、学齢期や卒業後の社会参加のなかで、その持てる力がのばされ、成長していくことを望んでいます。
  そうした中で、社会での障害者施策は様々にすすめられていますが、実際のところ視覚障害者にかかわるものはまだ限られています。私たちは障害者施策をよりすすめてもらうとともに、それが視覚障害者に十分な配慮されたものであることを切に望んでおります。
  このようなことをふまえて、障害者、そして視覚障害者の現在と将来のために東京都に次のことを要望いたします。


 2)福祉保健局、都市整備局、交通局
       

<要請内容(数字以下)、回答・質疑要旨>
1.障害者制度改革を、障害者権利条約にもとづき障害当事者の意見をふまえた基本合意や骨格提言を尊重してすすめるように、都として国に働きかけてください。
・回答要旨・権利条約でも当事者の声を尊重するようにもとめており、都としても当事者の声を反映するようにしてきている。
・質疑の中で(⇒は回答要旨)・内閣府での骨格提言を尊重するように国に要望するのはどうか⇒内閣府の文書を調べてみる。

2.同行援護の供給体制のバラツキをなくし、必要としても利用できない大変な状況を解決してください。従事者の養成等を事業者まかせにすることなく都として働きかけてください。また、一人で移動が困難な視覚障害者の学校の送迎や作業所への送迎でも利用できるように報酬告示の改定を働きかけてください。また移動支援での送迎等での運用を区市町村に働きかけてください。
・回答要旨・同行援護の研修の一般10時間、応用12時間を講師要件とし研修の質を重視している。国は学校や通勤などは対象外としているが、機会ごとに国に伝えている。移動支援は区市町村で行っているが通勤通学を相互的にすすめるように厚労省ですすめている。
・質疑の中で(⇒は回答要旨)・利用しようとしても使えない状況が続いている。養成状況はどうか⇒講習の修了者は、H26で一般2700名、応用1500名である。

3.障害福祉サービスの報酬単価を引き上げるように国にひきつづき働きかけてください。障害者に直接対応する大切な業務に見合う賃金がだせ、必要な人材の確保と事業の質を維持できる額に引き上げてください。また、都としての補助・加算を一層おこなってください。また、「日払い方式」は「応益負担」の考えにもとづくもので事業者の経営を圧迫し、人材の確保を困難にしています。障害者総合支援法でも文言は「応能負担」になりました。「月払い方式」にもどすように国に働きかけてください。
・回答要旨・報酬単価は安定して運営できるようにすべきであり、都として国に提案要求している。様々な利用ができるように国も示している。

4.障害の区分認定は、介護保険を前提して障害者の現状を反映させていません。「障害支援区分」と名前を変えても内容はかわらず、特に視覚障害では、「視力」の1項目だけであり、視覚障害に係わる生活全般への影響、全盲や弱視、視野狭窄、夜盲、色弱などの多様な視覚障害の実際を反映していません。視覚障害に係わる現状を反映するものにかえてください。そのために都として、国に働きかけてください。
・回答要旨・H26より区分の見直しをおこない説明会もおこなっている。視力を「3−1」で評価するのは当然であり、他の障害での支援が必要な状況にも対応するもので、公平、客観性が担保されなければならない。

5.「障害者・障害児地域生活支援3か年プラン」でのグループホームの目標2000名に対するH27年度の到達を教えてください。視覚障害や重複障害など重度に対応できるグループホーム整備をすすめてください。スプリンクラー義務化での免除規定により重度者が居づらくなることへの対応をしてください。スプリンクラー設置補助の申請を重度に対応する小事業者でも申請し易い簡易なものにしてください。
・回答要旨・H27年度の到達は、議会との関係もあり10月末まで待ってほしい。グループホームの整備にむけて都有地の利用や借地代への助成もはじめ、H24より消防法の6項ロや、その後ハも追加し、スプリンクラーの設置補助をH28より実施している。

6.2011年10月より実施された国のグループホーム利用での家賃補助にあたり、都の家賃補助が減額されたことは大変遺憾です。障害者にとってグループホームでの家賃負担は大変です。物価も上がり、消費税の負担も大変です。都が言う「物価も微減」「利用者の手元に残る」の根拠を教えてください。しかも国の支給は事業者にいき利用者の手元にきません。都の家賃補助を元の額にもどしてください。
・回答要旨・グループホームへの家賃補助は、国の実施で対象が利用者の50%から95%へひろがった。以前の都制度の方が国より高額であり、本人の手元に一定残るとも聞いていおり、物価の動向もみて現在の金額を維持している。これらはグループホームの運営状況の中からだしている。

7.都のおこなっている心身障害者の医療費の助成制度を維持し、現行の障害者本人に負担がなく医療にかかれる制度をひきつづき堅持してください。
・回答要旨・障害者の医療費への公費助成は、区市町村民税の非課税者について行い自己負担はない。今後とも現行の制度を維持していく。

8.点字使用の視覚障害者へ都および区市町村がだす書類は、点字で出してください。封筒への役所名担当課名の点字の記載とともに、申請期日のある書類は「申請期日あり」と封筒へ点字記載してください。ひきつづき点字文書作成をすすめてください。
・回答要旨・点字文書の作成は都や各区市町村でとりくんでいる。H28.4月に都印刷物取扱規程の改定があり、点字等を促す資料も各部局に流された。点字版の発行を促すように都庁内に働きかけていく。

9.短期入所(ショートステイ)を増やしてください。「障害者の地域移行・安心生活3か年プラン」の目標220名に対するH27年度の到達を教えてください。220名はどう増やすか教えてください。
・回答要旨・H26年度末の到達は議会との関係もあり10月末まで待ってほしい。目標の220名にむけて設置負担の助成や、H28年より消防法設備の補助の加算を行い、用地確保も支援し、今後も補助していく。

10.特別養護老人ホームでのマッサージ師雇用のための補助金をひきつづきカットしないでください。
・回答要旨・特養ホームでのマッサージ師雇用の補助は、H12年から介護保険に移行する中で円滑に移行するための経過的な経営支援事業として実施している。H11年までに雇用してある者に対する補助で、民設民営の事業所を対象にH28年度も実施おり、H29年度も予算の作業をすすめている。

11.バリアフリー法、福祉のまちづくり条例にもとづき視覚障害者用の点字誘導ブロックの増設、音響式信号機(新型スイッチ)とエスコートゾーンを警察と連携してすすめてください。特に地元で要望の出ている所の設置を支援してください。点字誘導ブロックや白杖への理解啓発、視覚障害者への理解啓発とマナーの喚起、自転車使用者への白杖の周知啓発、盲学校周辺での所在の広報などをひきつづきつよめてください。区市町村に視覚障害者に関する理解啓発をおこなうように、ひきつづき働きかけてください。
・回答要旨・視覚障害者の点字誘導ブロックや音声信号機も情報のバリアフリーとして重要であり、包括補助としてすすめている。エスコートゾーンも利用の多い所では設置が望ましい。

12.視覚障害者にとって駅でのホームドアの設置は急がれます。この間もホームでの転落死亡負傷事故がつづき、JR東日本の山手線での導入計画も、まだテンポが遅いです。建設過程で片側のみ設置のホームがあり危険です。両側の同時設置をすすめてください。都内の鉄道事業者に都として働きかけ、また、国に働きかけてください。都営地下鉄新宿線の2019年度設置を早め、浅草線の計画を早めてください。駅ホームの入線時での行き先案内放送を行い、特に入線ホームに行き先路線の違う電車の入る所は急いください。このことを鉄道事業者に働きかけてください。
・回答要旨・鉄道の安全輸送は鉄道事業者の責任であり、駅ホームドアの設置について都として要請し助成もしている。H26より10万以上の乗降客の駅から優先的に本格実施している。JR山手線は完了している。競技場周辺の駅への援助もすすめている。新宿線は2014年に着手し2019年の完成をめざしている。浅草線は大門・泉岳寺間で先行整備している。駅の案内放送は、都営では次の各線で自動放送で行っている。入線行き先は、浅草・三田・新宿の各線、経由は大江戸線、接続は浅草・三田の各線である。駅ホームドアについて引き続き働きかけていく。
・質疑の中で(⇒は回答要旨)・10万以上の乗降客の駅はどこか⇒都営以外の78駅である。・競技場周辺の駅とはどこか⇒JR、民鉄、3セクで信濃町、千駄ヶ谷、臨海、国際展示場である。・行き先案内について都営以外はどうか、ターミナル駅経由の電車で困っているが⇒働きかけていく。


                                  

   

                                     2)教育庁
<要請内容(数字以下)、回答・質疑要旨>
1.東京都特別支援教育推進計画第三次実施計画でコーディネーターの必要性と重要性はあきらかにされています。視覚障害教育において盲学校の特別支援教育コーディネーターは、視覚障害教育におけるセンター的役割がもとめられ、地域への支援・援助の役割もあり、現在の定員内では在校児童生徒の学習や訓練に支障をきたします。専任の特別支援教育コーディネーターの体制をつくってください。そのための各校への指導をつよめてください。現在の各盲学校のコーディネーターの配置人数を、専任・兼任に分けて教えてください。また、昨年との変化がある場合は、その理由を教えてください。
・回答要旨・特別支援教育のコーディネーターの配置は大事であり、センター機能を持った特別支援教育コーディネーターの配置のため加配の講師時数を出している。専門性を持つ機会として校内研修等も行っている。各校のコーディネーターは、文京−6名、葛飾−2名、八王子−7名、久我山−5名であり、全て兼任で専任は0である。
・質疑の中で(⇒は回答要旨)・加配の講師時数とは⇒講師を派遣する時間数のことであり、非常勤である。・常勤でなくパートみたいなのか⇒そうです。

2.視視覚障害教育の専門性を高めるための、盲学校教員の免許保有状況(H27.5.1現在)について学校別免許保有状況および都道府県別保有状況の資料を、昨年同様頂けたらとおもいます。ひきつづき保有状況の向上をすすめてください。
・回答要旨・免許保有状況は別紙(当日要請終了後メールで送付=文京−65.3%、葛飾−34.4%、久我山−64.9%、八王子−71.7%)。認定講習を受講し、取得状況の向上をはかっている。

3.視覚障害教育における点字学習をつよめてください。知的障害のある子にも引き続き積極的かつ適切にすすめてください。デジタルを活用した視覚障害教育を小・中の時からより積極的に取り入れ、三療以外の職業や一般就労、社会参加への情報を伝え、自分達で手にすることができるようにしてください。
・回答要旨・視覚障害の状況により点字指導をすすめており、知的障害を持つ子についても各校で点字を指導している。

4.盲学校の寄宿舎は、通学保障、生活経験と社会性の学習と教育の大切な場です。その重要性をふまえ、感覚障害である視覚障害教育の特性にふさわしく寄宿舎での生活がさらに充実するように、都として支援をすすめてください。
・回答要旨・寄宿舎は児童生徒の障害特性に配慮して配置している。

5.視覚障害をふまえた一般就労、福祉就労をすすめてください。就労にむけた職業訓練や現場実習をすすめてください。三療とともに三療以外の職業の情報を積極的に伝え、進学や一般就労への道などの多様化に対応し、盲学校として職業開拓をすすめてください。福祉就労を希望する生徒に対しては、就労移行支援の事業所への通所をすすめてください。その事業所へ視覚障害への配慮をはたらきかけてください。2016年度の就労移行支援の事業所への通所の人数を学校別の区市町村別に教えてください。
・回答要旨・進路を適切に一人一人の実態に応じたものにしており、新たな進路先もひろげている。就労移行支援先にむけた指導もすすめている。就労移行支援の事業所に行ったのは、H28年3月で、八王子0名、文京4名(生活支援センター2名、国リハ2名)である。

6.視覚障害者への理解すすめるために、都内の小中学校でおこなう交通安全教室・自転車教室等において白杖や視覚障害者への理解啓発を引き続きおこなってください。昨年要請した結果はどう実施されたか教えてください。
・回答要旨・安全指導についての教員向け資料を全ての教員に配布し、基本的事項をすすめている。その中で、幼児、高齢者、障害者にはどういう配慮が必要か考えようなどを指導している。安全学習の時も指導し、交通安全教室を80校で実施している。


                                 




                               
                
 尚、<回答要旨、質疑要旨>については、視覚障害児(者)親の会東京支部の責任でまとめました。問い合わせ等は、視覚障害児(者)親の会東京支部へ行うようにしてください。
 ・視覚障害児(者)親の会東京支部への問い合わせメール

  


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