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<東京都への要請(2017年)と

               回答・質疑要旨の紹介>


                                     
 視覚障害児(者)親の会東京支部としての

                       東京都各部局への要請について

        

1.要請実施日  2017年9月11日(日)               

2.各部局への要請−要請順
 1)福祉保健局、都市整備局、交通局 2)教育庁
3.各部局への要請内容                           
 1)要望書の冒頭文
 

わが国において国連の障害者権利条約が発効して3年半がたち、条約で明記された「すべての障害者によるあらゆる人権及び基本的自由の完全かつ平等な享有」等がどう実現されているか問われますが、昨年の政府報告でも以下にある課題もふれられていません。
  改正障害者総合支援法が昨年成立しましたが、その内容は、国が2010年1月に障害者自立支援法違憲訴訟団と基本合意文書(以下:基本合意)を締結し、そこ
に明記した「障害者自立支援法を2013年8月までに廃止し、新たな総合的な福祉法制を実施する」ものではなく、法律番号も自立支援法の継続の「平成17年法律第123号」です。 また、内閣府に設置された障がい者制度改革推進本部のもとで障害当事者が多く参加した障がい者制度改革推進会議で確認された「障害者総合福祉法の骨格に関する総合福祉部会の提言」(以下:骨格提言)の内容も多くは触れられていません。特に「65才問題」では、基本合意の「介護保険優先原則(障害者自立支援法第7条)を廃止し、障害の特性を配慮した選択制等の導入をはかること」とあるのに、今回の改正では負担軽減も償還とされ、内容は今後の政令とされ明らかになっていません。
  障害者差別解消法が昨年施行され、都が理解啓発・差別解消のための条例制定にむけ、そのヒヤリングに当支部をお招き頂きありがとうございます。障害者の実生活に生きる条例になることを期待します。 私たちは、障害者権利条約をふまえ障害当事者の意見を反映させた基本合意や骨格提言をふまえた制度改革を切に望みます。オリンピック・パラリンピックを控えバリアフリーを徹底し、障害者に安心・安全なまちづくりをすすめてください。
 私たち視覚障害児(者)の親は、視覚に障害をもった子供たちがすこやかに社会生活を送っていけるように、学齢期や卒業後の社会参加のなかで、その持てる力がのばされ、成長していくことを望んでいます。
 そうした中で、社会での障害者施策は様々にすすめられていますが、実際のところ視覚障害者にかかわるものはまだ限られています。私たちは障害者施策をよりすすめてもらうとともに、それが視覚障害者に十分な配慮されたものであることを切に望んでおります。
 このようなことをふまえて、障害者、そして視覚障害者の現在と将来のために東京都に次のことを要望いたします。


 2)福祉保健局、都市整備局、交通局
       


<要請内容(数字以下)、回答・質疑要旨>
1.
障害者制度改革を、障害者権利条約にもとづき障害当事者の意見をふまえた国と違憲訴訟団との基本合意(2010年)や内閣府の総合福祉部会の骨格提言(2011年)を尊重してすすめるように、都として国に引き続き働きかけてください。昨年、内閣府の文書を調べてみるいっていましたが、どうだったでしょうか。 ・回答要旨・権利条約のもとめる当事者本人の声を尊重するようにと言うことをふまえ、都としても当事者の声を反映するようにしてきている。
・質疑の中で(⇒は回答要旨)
・内閣府の文書を調べてみると昨年言っていたがどうか⇒特に内閣府についてで有り、内閣府の障害者政策委員会の傍聴もしてきている。今、新たな5年計画を審議しており、当事者が居て意見をもらっている。

2.
改正総合支援法で高齢障害者の介護保険利用時の負担軽減として償還で今後政令で定めるとありますが、償還は一旦障害者に現金負担させ償還手続きが必要で、収入の少ない障害者に財政と時間の負担をかけます。都の医療費の助成制度を利用する障害者は大変です。償還でなく窓口負担ない制度になるように国に働きかけてください。
・回答要旨・
在宅支援として償還ということでの過度な負担にならないように関係都市等と検討している。
・質疑の中で(⇒は回答要旨)・償還とは一旦障害者が立て替えてその領収書をあらためて役所に申請するもので、65歳以上の高齢者にそれをもとめるのは無理である。国は政令でといっているが内容はあきらかにされていない⇒償還が大変ということは認識している。国からはまだ内容が示されていない。

3.
同行援護は供給体制が十分でなく、必要としても利用できない状況です。従事者の養成等を事業者まかせでなく、都として働きかけてください。一人で移動が困難な視覚障害者の学校の送迎や作業所への送迎でも利用できるよう報酬告示の改定を働きかけてください。また移動支援の送迎等の運用を区市町村に働きかけてください。
・回答要旨
・同行援護の養成講習をおこない、質の確保に努めている。同行援護の制度についての周知をはかっている。学校や作業所への通学通所についての利用についての声を国に伝えていく。移動支援は各区市町村でのとりくみとなるが、費用の応分な負担について国に要望していく。

4.
報酬単価を引き上げるように国にひきつづき働きかけてください。障害者を直接支援する業務に見合う賃金がだせ、必要な人材の確保と事業の質を維持できる額に引き上げてください。都としての補助・加算を一層おこなってください。「日払い方式」は「応益負担」の考えで事業者の経営を圧迫し、人材の確保を困難にします。障害者総合支援法で表現は「応能負担」であり「月払い方式」に戻すように国に働きかけてください。
・回答要旨
・報酬単価の給付費でまかなえるように、安定して実施できるようにすべきと考えている。報酬単価の改善の提案要求を都として国にしている。報酬の重複をしないならば様々な利用ができると国より示されている。

5.
障害の区分認定は、介護保険を前提に障害者の現状を反映していません。名称変更でも内容はかわらず、視覚障害は、「視力」の1項目だけで視覚障害の生活全般への影響、全盲や弱視、視野狭窄、夜盲、色弱など多様な視覚障害の実際を反映していません。視覚障害の現状を反映するように都として、国に引き続き働きかけてください。  
・回答要旨・
区分認定において視力について「3−1」の1項目で評価しており、他の障害での必要な支援について周知している。今後も国に区分認定の透明性、公平、客観性が担保されるように要望している。

6.
「障害者・障害児地域生活支援3か年プラン」のグループホームの目標2000
名へのH28年度の到達を教えてください。視覚障害や重複障害などの重度対応のグループホーム整備をすすめてください。スプリンクラー義務化の免除規定で重度者が居づらくことへの対応してください。スプリンクラー設置補助の申請を重度に対応する小事業者でも申請し易い簡易なものにし、引き続き実施してください。
・回答要旨
・目標2000名に対してH27・28の到達は、1153名増で合計8374名になる。施設整備として地域生活整備費の補助を行い、用地確保の補助も行っている。H24より消防法の6項ロや、その後6項ハへの補助もH28より追加し、スプリンクラーの設置補助もあらたに行っている。グループホームの防災の補助もH30〜32の次期計画をつくる予定である。

7.
2011年10月よりの国のグループホームへの家賃補助での、都の家賃補助の減額は大変遺憾です。障害者の家賃負担は大変です。物価も上がり、消費税の負担も大変です。都の「物価も微減」「利用者の手元に残る」の根拠を教えてください。国の支給は事業者にいき利用者には来ません。都の家賃補助を元の額にもどしてください。 
 ・回答要旨
・グループホームへの家賃補助は、国の実施で対象が利用者の50%から95%へひろがり新たに1万円支給された。以前の都制度の方が国より高額であり、本人の手元に一定残るとも聞いていおり、物価のこの間で同水準であり、グループホームの運営状況を見ながら現在の金額を維持している。物価指数は都の関係部局の資料による。

8.
都のおこなっている心身障害者の医療費の助成制度を維持し、現行の障害者本人に負担がなく医療にかかれる制度をひきつづき堅持してください。
・回答要旨
・障害者の医療費への公費助成は、重度障害者の医療の困難性から身障手帳1・2級、愛の手帳1・2度で区市町村民税の非課税者について行い、自己負担はない。今後とも現行の制度を維持していく。

9.
点字使用の視覚障害者へ都や区市町村のだす書類は、点字で出してください。封筒への役所名担当課名の点字の記載は改善されてきており、ありがとうございます。申請期日の書類の「申請期日あり」の封筒へ点字記載し、点字文書作成をすすめてください。
 ・回答要旨
・点字文書の作成は都や各区市町村でとりくんでいる。視覚障害に配慮したとりくみとして点字や拡大文字などを検討するように通知している。H28.3月に都印刷物取扱規程の改定があり、点字での情報提供の促すとりくみをすすめている。

10.
ショートステイの利用は切実であり増やしてください。「障害者の地域移行・安心生活3か年プラン」の目標220名へのH28年度の到達を教えてください。220名はどう増やすか教えてください。
 ・回答要旨
・H27〜29年度の目標は220名増であり、H27・28の到達は87名、到達は963名である。国の報酬に上積みした補助を行っている。3か年プランにもとづきH28年より消防法設備の補助をすすめ、民有地の借地代の補助など用地確保も支援している。

11.
バリアフリー法、福祉のまちづくり条例により、またオリンピック・パラリンピックも控え、視覚障害者用の点字誘導ブロックの増設、音響式信号機(新型スイッチ)とエスコートゾーンを警察と連携して増やしてください。特に地元で要望の出ている所の設置を支援してください。点字誘導ブロックや白杖、視覚障害者への理解啓発と喚起、自転車使用者への白杖の周知啓発、盲学校周辺での所在の広報などをつよめ、区市町村に視覚障害者に関する理解啓発をおこなうように、ひきつづき働きかけてください。
・回答要旨
・整備基準を定めてマニュアルを作っており、視覚障害者の点字誘導ブロックや音声信号機、エスコートゾーンもバリアフリーとして重要であり、すすめている。全ての高校に資料を配布し、誘導用ブロックの上に自転車を止めないよう
   に周知している。

12.
視覚障害者にとって駅でのホームドアの設置は切実で急がれます。ホームでの転落死亡事故がつづき、JR東日本の山手線の計画も、テンポが遅いです。片側のみ設置のホームは危険で、両側同時設置を都内の鉄道事業者に都として働きかけ、また、国に働きかけてください。都営地下鉄新宿線の2019年度設置を早め、浅草線の計画を早めてください。駅ホームの入線時の行き先案内放送を行い、特に入線ホームに行き先路線の違う電車の入る所は急いください。車内の行き先案内を車内掲示の読めない視覚障害者のために、必ずやってください。これらを鉄道事業者に働きかけてください。
・回答要旨
・都営では、新宿線はH24年より着手しH29年の完了をめざしている。浅草線は大門・泉岳寺間、新宿・三田間で2020年めざして整備している。行き先案内は、駅ホームで行き先案内や接続案内を行っている。車内放送は、掲示の読めない視覚障害者を配慮して停車中や発車時に車内放送を行っている。都営以外については、鉄道の安全輸送は鉄道事業者自らが行うのを基本に整備補助をすすめており、駅ホームドアの設置について都として要請し助成もしている。H26より乗降客10万以上の駅から優先的にすすめ、H27よりオリンピック・パラリンピック会場周辺もすすめている。
・質疑の中で(⇒は回答要旨)
・2020年までに乗降客10万以上の未設置駅176駅中64駅に設置と報道されているが、都内はいくつか⇒都内の乗降客の10万人以上の駅は78駅だが、設置予定がいくつかわからない、後で伝える。⇒(後日回答あり)全国64駅のうち、都内においては、37駅となっている。


                       
                                


2)教育庁

<要請内容(数字以下)、回答・質疑要旨>
1.視覚障害教育の専門性を高めてください。盲学校教員の免許保有状況が充分  
ではありません。盲学校教員の免許保有状況(H28.5.1現在)について学校別免  
許保有状況および都道府県別保有状況の資料を、昨年同様お願いします。東京都  
特別支援教育推進計画(第二期)・第一次実施計画の政策目標の「現状」で、H27  年度保有率65.3%です。盲学校は同年度61.8%(34.4~71.7%)で、政策目標の目標値はH38年度に100%です。保有状況の低い学校に都として働きかけ、保有状況の向上をすすめてください。  
・回答要旨
・免許保有状況は別紙である。文京−68.8%、葛飾−37.5%、久我山−67.5%、八王子−72.8%、全都−64.2%、全国−58.2%である。認定講習を行い、保有率の向上をはかっている。
 ・質疑の中で(⇒は回答要旨)・葛飾盲は37.5%と低いが⇒免許取得は人事部で指導部ではあまりふれられない。指導部は指導内容なので。

2.
東京都特別支援教育推進計画(第二期)・第一次実施計画の「1専門性の高い教員の確保・育成」で免許取得とともにコーディネーターの重要性をあきらかし、視覚障害教育での盲学校の特別支援教育コーディネーターは、視覚障害教育のセンター的役割がもとめられます。地域への支援・援助の役割があり、現在の定員内では児童生徒の学習に支障をきたします。専任の特別支援教育コーディネーターの体制をつくってください。この間専任化がすすんでいませんが、なぜですか。各校への指導をつよめてください。現在の各盲学校のコーディネーターの配置人数を、専任・兼任に分けて教えてください。また、昨年との変化がある場合は、その理由を教えてください。  
 ・回答要旨
・特別支援教育のコーディネーターの配置については加配の措置をして講師時数を出している。いずれも兼任であり、文京−6名、葛飾−3名、八王子−6名、久我山−5名であり、葛飾は1名増、八王子は1名減だが校内配置の結果で幼・小・中・高・理療各1名、全体統括1名とのこと。
 ・質疑の中で(⇒は回答要旨)・いつも兼任だが専任はどうか⇒ハードルが高くむずかしい。

3.
視覚障害教育における点字学習について、知的障害のある子にも積極的かつ適切にすすめてください。デジタルを活用した視覚障害教育を小・中の時からより積極的に取り入れてください。  
・回答要旨
・知的障害を持つ子への個別機器の活用をすすめ、点字を含めて活用し指導している。

4.
視覚障害をふまえた一般就労、福祉就労をすすめてください。就労にむけた職業訓練や現場実習をすすめ、あはきの三療とともに三療以外の職業の情報を積極的に伝え、進学や一般就労への道などの多様化に対応し、盲学校として職業開拓をすすめてください。第一次実施計画の「A職業教育の充実」では、三療が主になっています。もっともっと広げてください。福祉就労を希望する生徒へは、就労移行支援の事業所への通所をすすめ、その事業所へ視覚障害への配慮を働きかけてください。2017年度の就労移行支援の事業所への通所の人数を学校別で区市町村別に教えてください。
・回答要旨
・一人一人の実態に合わせた指導が大事で、新たな職域開拓をしている。今後の進路指導をすすめ、就労移行支援先にむけた指導もすすめている。就労移行支援の事業所に行ったのは、H29年3月で、八王子2名(日野市、多摩市)、文京2名(新宿区2名)である。

5.
視覚障害者への理解すすめるために、都内の小中学校でおこなう交通安全教室・自転車教室等において白杖や視覚障害者への理解啓発を引き続きおこなってください。昨年要請した結果はどう実施されたか教えてください。
・回答要旨・安全教育プログラムを公立学校に配布し、交通安全教育を各学校で日常的に指導している。歩行者シュミレーターを使い小学校、特別支援学校小学部の93校で実施している。今後も理解啓発に努める。


                          
                               
                
 尚、<回答要旨、質疑要旨>については、視覚障害児(者)親の会東京支部の責任でまとめました。問い合わせ等は、視覚障害児(者)親の会東京支部へ行うようにしてください。
 ・視覚障害児(者)親の会東京支部への問い合わせメール

  

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