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<東京都への要望書(2019年)の紹介> 
  要望書                          
                                 2019年7月24日
              全国視覚障害児(者)親の会東京支部  

 わが国において国連の障害者権利条約が発効して5年半がたち、条約で明記された「すべての障害者によるあらゆる人権及び基本的自由の完全かつ平等な享有」等がどう実現されているか問われます。
 改正障害者総合支援法が3年前に成立しましたが、その内容は、国が2010年1月に障害者自立支援法違憲訴訟団と基本合意文書(以下:基本合意)を締結し、そこに明記した「障害者自立支援法を2013年8月までに廃止し、新たな総合的な福祉法制を実施する」ものではなく、法律番号も自立支援法の継続の「平成17年法律第123号」です。
 また、内閣府に設置された障がい者制度改革推進本部のもとで障害当事者が多く参加した障がい者制度改革推進会議で確認された「障害者総合福祉法の骨格に関する総合福祉部会の提言」(以下:骨格提言)の内容も多くは触れられていません。「65才問題」では、基本合意の「介護保険優先原則(障害者自立支援法第7条)を廃止し、障害の特性を配慮した選択制等の導入をはかること」とあるのに、改正では負担軽減も償還とされ、その要件も制約され権利条約の「人権及び基本的自由の完全かつ平等な享有」とはなっておりません。
 障害者差別解消法が3年前に施行され、都も昨年10/1に障害者への理解促進及び差別解消の推進に関する条例」を施行し、その役割を発揮することが期待されます。
 私たちは、障害者権利条約をふまえ障害当事者の意見を反映した基本合意や骨格提言をふまえた制度改革を切に望みます。オリンピック・パラリンピックを控えバリアフリーを徹底し、障害者に安心・安全なまちづくりをすすめてください。
 私たち視覚障害児(者)の親は、視覚に障害をもった子供たちがすこやかに社会生活を送っていけるように、学齢期や卒業後の社会参加のなかで、その持てる力がのばされ、成長していくことを望んでいます。

 そうした中で、障害者施策は様々にすすめられていますが、実際のところ視覚障害者にかかわるものはまだ限られています。私たちは障害者施策をよりすすめてもらうとともに、それが視覚障害者に十分な配慮されたものであることを切に望んでおります。

 このようなことをふまえて、障害者、そして視覚障害者の現在と将来のために東京都に次のことを要望いたします。

福祉保健局・都市整備局・交通局関係    



1.
障害者制度改革を、障害者権利条約にもとづき、上記のように、障害当事者の意見をふまえた国と違憲訴訟団との基本合意(2010)や内閣府の総合福祉部会の骨格提言(2011)を尊重して、現在の諸施策をすすめるよう、都として国に働きかけてください。

2.改正総合支援法で高齢障害者の介護保険利用時の負担軽減として償還方式が出されていますが、償還は一旦障害者に現金負担させ償還手続きが必要で、収入の少ない障害者に財政と時間の負担をかけます。都の医療費の助成制度を利用する障害者は大変です。償還でなく窓口負担ない制度になるように国に引き続き働きかけてください。都としての対策を行ってください。

3.同行援護は供給体制が十分でなく、使おうとしても利用できない状況がとして続いています。従事者の養成等を事業者まかせでなく、都として働きかけてください。一人で移動が困難な視覚障害者の学校の送迎や作業所への送迎でも利用できるよう報酬告示の改定を引き続き働きかけてください。また移動支援の送迎等の運用を区市町村に働きかけてください。

4.報酬単価を引き上げるように国に引き続き働きかけてください。障害者を直接支援する業務に見合う賃金がだせ、必要な人材の確保と事業の質を維持できる額に引き上げてください。都としての補助・加算を一層おこなってください。昨年の工賃の見直しでは平均工賃月額での報酬設定が加え、しかも改定前より下げる基本報酬部分を作ったことは、様々な事情のなかで就労している障害者の障害特性を踏まえたものとはなっていません。平均工賃月額での報酬設定はやめてください。そのことを国に要望してください。また、「日払い方式」は「応益負担」の考えで事業者の経営を圧迫し、人材の確保を困難にします。障害者総合支援法で表現は「応能負担」となっており「月払い方式」に戻すように国に働きかけてください。

5.障害の区分認定は、介護保険を前提に障害者の現状を反映していません。名称変更でも内容はかわらず、視覚障害は、「視力」の1項目だけで視覚障害の生活全般への影響、全盲や弱視、視野狭窄、夜盲、色弱など多様な視覚障害の実際を反映していません。視覚障害の現状を反映するように都として、国に引き続き働きかけてください。

6.障害者・障害児地域生活支援3か年プラン」(以下「3か年プラン」のグループホームの目標2000人へのH30年度の実績と到達を教えてください。「障害者・障害児施策推進計画」(以下「施策推進計画」)ではH31年度の利用者数見込み11125人となっていますが、どう達成するのか教えてください。「施策推進計画」とその中の「3か年プラン」はどう関連しますか。教えてください。私達は、視覚障害や重複障害などの重度対応のグループホーム整備を具体的にすすめてほしいのです。スプリンクラー義務化の免除規定で重度障害者が居づらくなることにたいして、昨年の予定が今年に遅れて実施されている重度への加算をはじめ都の新たな加算などの対策をとってください。

7.ショートステイの利用は切実です。増やしてください。「3か年プラン」の定員増の目標180人へのH30年度の実績と到達を教えてください。「3か年プラン」の180名はどう増やすか教えてください。「施策推進計画」のH30からH31の増分がサービス量(人日分)2541利用者数326をどう増やすか教えてください。「3か年プラン」の定員増とサービス量(人日分)、利用者数の関係を教えてください。

8.2011年10月よりの国のグループホームへの家賃補助での、都の家賃補助の減額は大変遺憾です。障害者の家賃負担は大変です。物価も上がり、消費税の負担も大変です。都の「物価も微減」もあたりません。「利用者の手元に残る」の根拠を改めて教えてください。国の支給は事業者にいき利用者には来ません。都の家賃補助を元の額にもどしてください。

9.都のおこなっている心身障害者の医療費の助成制度を維持し、現行の障害者本人に負担がなく医療にかかれる制度をひきつづき堅持してください。

10.点字使用の視覚障害者へ都や区市町村のだす書類は、点字で出してください。封筒への役所名担当課名の点字の記載は改善されてきています。申請期日の書類の「申請期日あり」の封筒への点字記載を都ですすめ区市町村に引き続き働きかけてください。

11.バリアフリー法、福祉のまちづくり条例により、「施策推進計画」の「ユニバーサルデザインの視点に立った福祉のまちづくり」にもとづき、視覚障害者用の点字誘導ブロックの増設、音響式信号機(新型スイッチ)とエスコートゾーンを警察と連携して増やしてください。「施策推進計画」では実施主体は東京都です。しっかりすすめてください。特に地元で要望の出ている所の設置をすすめてください。点字誘導ブロックや白杖、視覚障害者への理解啓発と喚起、自転車使用者への白杖の周知啓発、盲学校周辺での所在の広報などをつよめ、区市町村に視覚障害者に関する理解啓発をおこなうように、ひきつづき働きかけてください。

12.視覚障害者にとって駅でのホームドアの設置は急がれます。ホームでの転落死亡事故が後を絶たず、JR東日本の山手線の計画も、テンポを早めてください。片側のみの設置は危険で、両側同時設置を都内の鉄道事業者に都としてあらためて働きかけ、また、国に働きかけてください。都営地下鉄新宿線の2019年秋完了を早め、浅草線の計画を早めてください。また、乗降客10万人以上の都内の未設置駅で2020年度までに整備予定の37駅中2019年度設置予定の4駅以外で2020年8月以前設置の駅は何駅ですか。その線名駅名の資料をいただけたらと思います。国交省の乗降客1万人以上の駅に内方線を昨年度までに設置したのは都内対象622駅中何駅ですか。未設置駅の線名駅名を教えてください。昨年もお願いした駅ホームでの案内放送で「黄色い点字ブロックの後にお下がりください」と案内は増えましたが実施事業者と実施状況を教えてください。点字誘導ブロックの啓発にもなるので広げてください。
                                                                   



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