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<東京都への要請(2019年)と

               回答・質疑要旨の紹介>


                                     
 視覚障害児(者)親の会東京支部としての

                       東京都各部局への要請について

        

1.要請実施日  2019年9月5日(木)               

2.各部局への要請−要請順
 1)福祉保健局、都市整備局、交通局 
3.各部局への要請内容                           
 1)要望書の冒頭文
 わが国において国連の障害者権利条約が発効して5年半がたち、条約で明記された「すべての障害者によるあらゆる人権及び基本的自由の完全かつ平等な享有」等がどう実現されているか問われます。
 
改正障害者総合支援法が3年前に成立しましたが、その内容は、国が2010年1月に障害者自立支援法違憲訴訟団と基本合意文書(以下:基本合意)を締結し、そこに明記した「障害者自立支援法を2013年8月までに廃止し、新たな総合的な福祉法制を実施する」ものではなく、法律番号も自立支援法の継続の「平成17年法律第123号」です。
 
また、内閣府に設置された障がい者制度改革推進本部のもとで障害当事者が多く参加した障がい者制度改革推進会議で確認された「障害者総合福祉法の骨格に関する総合福祉部会の提言」(以下:骨格提言)の内容も多くは触れられていません。「65才問題」では、基本合意の「介護保険優先原則(障害者自立支援法第7条)を廃止し、障害の特性を配慮した選択制等の導入をはかること」とあるのに、改正では負担軽減も償還とされ、その要件も制約され権利条約の「人権及び基本的自由の完全かつ平等な享有」とはなっておりません。
 
障害者差別解消法が3年前に施行され、都も昨年10/1に「障害者への理解促進及び差別解消の推進に関する条例」を施行し、その役割を発揮することが期待されます。
 
私たちは、障害者権利条約をふまえ障害当事者の意見を反映した基本合意や骨格提言をふまえた制度改革を切に望みます。オリンピック・パラリンピックを控えバリアフリーを徹底し、障害者に安心・安全なまちづくりをすすめてください。
 
私たち視覚障害児(者)の親は、視覚に障害をもった子供たちがすこやかに社会生活を送っていけるように、学齢期や卒業後の社会参加のなかで、その持てる力がのばされ、成長していくことを望んでいます。
 
そうした中で、障害者施策は様々にすすめられていますが、実際のところ視覚障害者にかかわるものはまだ限られています。私たちは障害者施策をよりすすめてもらうとともに、それが視覚障害者に十分な配慮されたものであることを切に望んでおります。
 
このようなことをふまえて、障害者、そして視覚障害者の現在と将来のために東京都に次のことを要望いたします。

 2)福祉保健局、都市整備局、交通局
       


<要請内容(数字以下)、回答・質疑要旨>
1.障害者制度改革を、障害者権利条約にもとづき、上記のように、障害当事者の意見をふまえた国と違憲訴訟団との基本合意(2010)や内閣府の総合福祉部会の骨格提言(2011)を尊重して、現在の諸施策をすすめるよう、都として国に働きかけてください。
・回答要旨政府の障害者計画を障害者政策委員会で検討して第4次計画を作ってきている。国の動向を注視して報酬単価の改善等を国に伝えていく。・質疑の中では回答要旨)・注視だけでなく、障害者権利条約や昨年の国連での障害者権利委員会で言われているように慈善モデルや医学モデルではなく、障害者が権利の主体者となるように望んでもらいたいもちろんで注視だけではなく都として障害者の状況がより充実していくように推進協議会で討議し議論していきたい。

2.改正総合支援法で高齢障害者の介護保険利用時の負担軽減として償還方式が出されていますが、償還は一旦障害者に現金負担させ償還手続きが必要で、収入の少ない障害者に財政と時間の負担をかけます。都の医療費の助成制度を利用する障害者は大変です。償還でなく窓口負担ない制度になるように国に引き続き働きかけてください。都としての対策を行ってください。
・回答要旨償還払いは障害者が一度1割を払わなければならないものであり、そうでないものを国制度にしてほしいと国に都として要望している。

3.同行援護は供給体制が十分でなく、使おうとしても利用できない状況がとして続いています。従事者の養成等を事業者まかせでなく、都として働きかけてください。一人で移動が困難な視覚障害者の学校の送迎や作業所への送迎でも利用できるよう報酬告示の改定を引き続き働きかけてください。また移動支援の送迎等の運用を区市町村に働きかけてください。
・回答要旨都としても従事者の研修で質の確保に努めており、区市町村への説明会でも周知をはかってる。学校や作業所の通学通所についても生活実態に即してできるように国に要望している。移動支援事業は、区市町村の判断で行ってきているものであり、都として言うことはできない。都として応分の負担をしており、国へも負担を要望している。

4.報酬単価を引き上げるように国に引き続き働きかけてください。障害者を直接支援する業務に見合う賃金がだせ、必要な人材の確保と事業の質を維持できる額に引き上げてください。都としての補助・加算を一層おこなってください。昨年の工賃の見直しでは平均工賃月額での報酬設定が加え、しかも改定前より下げる基本報酬部分を作ったことは、様々な事情のなかで就労している障害者の障害特性を踏まえたものとはなっていません。平均工賃月額での報酬設定はやめてください。そのことを国に要望してください。また、「日払い方式」は「応益負担」の考えで事業者の経営を圧迫し、人材の確保を困難にします。障害者総合支援法で表現は「応能負担」となっており「月払い方式」に戻すように国に働きかけてください。
・回答要旨基礎的費用は給付費でまかなうべきであり、障害福祉サービスができるように設定されるべきである。報酬の改善を国にもとめている。就労の基本報酬月額の基準設定は国が行ったものであり、短時間の就労の障害者を受け入れてきた実績をふまえ国に要望している。

5.障害の区分認定は、介護保険を前提に障害者の現状を反映していません。名称変更でも内容はかわらず、視覚障害は、「視力」の1項目だけで視覚障害の生活全般への影響、全盲や弱視、視野狭窄、夜盲、色弱など多様な視覚障害の実際を反映していません。視覚障害の現状を反映するように都として、国に引き続き働きかけてください。
・回答要旨区分認定は国の制度でありマニュアルで実施しており視力もその中で評価している。マニュアルでも支援が必要な状態で判断するようにとなっている。見直しについて公平性や客観性などを要望している。
6.障害者・障害児地域生活支援3か年プラン」(以下「3か年プラン」のグループホームの目標2000人へのH30年度の実績と到達を教えてください。「障害者・障害児施策推進計画」(以下「施策推進計画」)ではH31年度の利用者数見込み11125人となっていますが、どう達成するのか教えてください。「施策推進計画」とその中の「3か年プラン」はどう関連しますか。教えてください。私達は、視覚障害や重複障害などの重度対応のグループホーム整備を具体的にすすめてほしいのです。スプリンクラー義務化の免除規定で重度障害者が居づらくなることにたいして、昨年の予定が今年に遅れて実施されている重度への加算をはじめ都の新たな加算などの対策をとってください。
・回答要旨都は3ヶ年プランでH30からR2までに2000名の定員増を目標にしておりH30の到達は9851名で年間774名の増である。都として国の報酬に上積みした補助を行い、グループホーム開設準備補助事業を行っている。今年度より重度対応の人的体制を組んだところにグループホーム体制強化支援事業をあらたに行っている。・質疑の中では回答要旨)昨年予定で今年1月から実施された重度加算とはちがうのか。ちがう、昨年度のものは都加算の配分を変えたもので、今回のは新たな体制強化支援である。また、重度への支援として開設への都有地の活用や借地料の補助、消防設備の補助加算を行っている。

7.ショートステイの利用は切実です。増やしてください。「3か年プラン」の定員増の目標180人へのH30年度の実績と到達を教えてください。「3か年プラン」の180名はどう増やすか教えてください。「施策推進計画」のH30からH31の増分がサービス量(人日分)2541利用者数326をどう増やすか教えてください。「3か年プラン」の定員増とサービス量(人日分)、利用者数の関係を教えてください。
・回答要旨ショートステイのH30年度の到達は1101名、51名の増である。定員数はH30〜R2の3ヶ年プランでは3年で180名増の目標である。どう増やすかについては、国の報酬に上積みした補助を行い、都有地の活用、借地料の補助などの支援を加算実施していく。

8.2011年10月よりの国のグループホームへの家賃補助での、都の家賃補助の減額は大変遺憾です。障害者の家賃負担は大変です。物価も上がり、消費税の負担も大変です。都の「物価も微減」もあたりません。「利用者の手元に残る」の根拠を改めて教えてください。国の支給は事業者にいき利用者には来ません。都の家賃補助を元の額にもどしてください。
・回答要旨グループホームへの家賃補助は、家賃だけではなく障害者の所得保障の問題と考える。就労や年金など国の責任と考える。障害基礎年金などを国が充実するように要望している。

9.都のおこなっている心身障害者の医療費の助成制度を維持し、現行の障害者本人に負担がなく医療にかかれる制度をひきつづき堅持してください。
・回答要旨障害者の医療費の助成は、重度障害者の医療の困難性から区市町村民税の課税者には1割、非課税者は0で負担なし、ただし入院の食費はかかる制度である。今後も現行制度を考えている。

10.点字使用の視覚障害者へ都や区市町村のだす書類は、点字で出してください。封筒への役所名担当課名の点字の記載は改善されてきています。申請期日の書類の「申請期日あり」の封筒への点字記載を都ですすめ区市町村に引き続き働きかけてください。
・回答要旨点字の文書作成は都や区市町村が行っている。都印刷物取扱規程で点字の活用も明記している。今後も障害者担当部署として都庁内や区市町村に働きかけていく。

11.バリアフリー法、福祉のまちづくり条例により、「施策推進計画」の「ユニバーサルデザインの視点に立った福祉のまちづくり」にもとづき、視覚障害者用の点字誘導ブロックの増設、音響式信号機(新型スイッチ)とエスコートゾーンを警察と連携して増やしてください。「施策推進計画」では実施主体は東京都です。しっかりすすめてください。特に地元で要望の出ている所の設置をすすめてください。点字誘導ブロックや白杖、視覚障害者への理解啓発と喚起、自転車使用者への白杖の周知啓発、盲学校周辺での所在の広報などをつよめ、区市町村に視覚障害者に関する理解啓発をおこなうように、ひきつづき働きかけてください。
・回答要旨福祉のまちづくり条例で視覚障害者への点字誘導ブロック整備について基準を定めて行っている。横断歩道での音響式信号機やエスコートゾーンについてH28年度にガイドラインを作り普及啓発しており、H29年度にハンドブックを作り配慮のポイントの普及をはかっている。今後も様々なことを行っていきたい。

12.視覚障害者にとって駅でのホームドアの設置は急がれます。ホームでの転落死亡事故が後を絶たず、JR東日本の山手線の計画も、テンポを早めてください。片側のみの設置は危険で、両側同時設置を都内の鉄道事業者に都としてあらためて働きかけ、また、国に働きかけてください。都営地下鉄新宿線の2019年秋完了を早め、浅草線の計画を早めてください。また、乗降客10万人以上の都内の未設置駅で2020年度までに整備予定の37駅中2019年度設置予定の4駅以外で2020年8月以前設置の駅は何駅ですか。その線名駅名の資料をいただけたらと思います。国交省の乗降客1万人以上の駅に内方線を昨年度までに設置したのは都内対象622駅中何駅ですか。未設置駅の線名駅名を教えてください。昨年もお願いした駅ホームでの案内放送で「黄色い点字ブロックの後にお下がりください」と案内は増えましたが実施事業者と実施状況を教えてください。点字誘導ブロックの啓発にもなるので広げてください。
・回答要旨駅ホームドアの設置で、JR東日本は山手線をH30に公表した計画で2020年第1四半期までに30駅中28駅で設置するとし、大規模改修の新宿と渋谷は設置時期を公表していない。片側のみの設置は、鉄道事業者としては一緒に設置しようとしているが路線単位ですすめており、大規模改修以外の駅では2020年第1四半期までになくなる。乗降客10万以上で2020年度までに整備予定の都内37駅中、2020年8月以前の整備は東京、新橋、渋谷、都営泉岳寺である。内方線設置については乗降客1万人以上の都内対象622駅中621駅で設置し、未設置は西武多摩川線の多摩駅であり橋上駅化の予定である。黄色い点字ブロックという案内放送を行っている鉄道事業者は、JR東日本、京王、小田急、東急、京急、東武、東京メトロの7社であり、他に7社が準備している。都営のホームドア設置は、新宿線で8月10日に全駅完了した。浅草線は、新橋、大門、三田、泉岳寺で先行工事を10月より行い、R5(2023)年までに完了する。黄色い点字ブロックという案内放送は浅草線(ホームドア未設置)で行っている。

                       
                 

                               
                
 尚、<回答要旨、質疑要旨>については、視覚障害児(者)親の会東京支部の責任でまとめました。問い合わせ等は、視覚障害児(者)親の会東京支部へ行うようにしてください。
 ・視覚障害児(者)親の会東京支部への問い合わせメール

  


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