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<東京都への要請(2020年)と

               回答・質疑要旨の紹介>


                                     
 視覚障害児(者)親の会東京支部としての

                       東京都各部局への要請について

        

1.要請実施日  2020年9月9日(水)               

2.各部局への要請−要請順
 1)福祉保健局、都市整備局、交通局 
3.各部局への要請内容                           
 1)要望書の冒頭文
 

新型コロナウイルス対策の中で、視覚障害者は触らない大声で話さない等の強調で大変な状況におかれており、国や都・各自治体等の視覚障害者の障害特性をふまえた取り組みがもとめられています。

わが国においては国連の障害者権利条約が発効して6年半がたち、条約で明記された「すべての障害者によるあらゆる人権及び基本的自由の完全かつ平等な享有」等がどう実現されているか問われます。

改正障害者総合支援法が4年前に成立しましたが、その内容は、国が2010年1月に障害者自立支援法違憲訴訟団と基本合意文書(以下:基本合意)を締結し、そこに明記した「障害者自立支援法を2013年8月までに廃止し、新たな総合的な福祉法制を実施する」ものではなく、法律番号も自立支援法の継続の「平成17年法律第123号」です。

また、内閣府に設置された障がい者制度改革推進本部のもとで障害当事者が多く参加した障がい者制度改革推進会議で確認された「障害者総合福祉法の骨格に関する総合福祉部会の提言」(以下:骨格提言)の内容も多くは触れられていません。「65才問題」では、基本合意の「介護保険優先原則(障害者自立支援法第7条)を廃止し、障害の特性を配慮した選択制等の導入をはかること」とあるのに、改正では負担軽減も償還とされ、その要件も制約され権利条約の「人権及び基本的自由の完全かつ平等な享有」とはなっておりません。

障害者差別解消法が4年前に施行され、都も一昨年「障害者への理解促進及び差別解消の推進に関する条例」を施行し、その役割を発揮することが期待されます。

私たちは、障害者権利条約をふまえ障害当事者の意見を反映した基本合意や骨格提言をふまえた制度改革を切に望みます。新型コロナウイルス対策で来年に延期されたオリンピック・パラリンピックにむけてバリアフリーを一層徹底し、障害者に安心・安全なまちづくりをすすめてください。

 私たち視覚障害児・者の親は、視覚に障害をもった子供たちがすこやかに社会生活を送っていけるように、学齢期や卒業後の社会参加のなかで、その持てる力がのばされ、成長していくことを望んでいます。

 そうした中で、障害者施策は様々にすすめられていますが、実際のところ視覚障害者にかかわるものはまだ限られています。私たちは障害者施策をよりすすめてもらうとともに、それが視覚障害者に十分な配慮されたものであることを切に望んでおります。

 このようなことをふまえて、障害者、そして視覚障害者の現在と将来のために東京都に次のことを要望いたします。

 
 2)福祉保健局、都市整備局、交通局
       


<要請内容(数字以下)、回答・質疑要旨>
1.新型コロナウイルス対策の中、視覚障害者は、手でさわらない、よけいなことは話さない、大声はださない、などが強調され、さわることと音声での情報が大きな比重をしめる視覚障害者はとりわけ大変な状況におかれています。都として各区市町村へ各障害者への障害特性をふまえた配慮をすすめ、視覚障害者へは触れることや音声にたいする障害特性への配慮をもとめ、また、利用している事業所への利用に影響が出ないように働きかけてください。また、移動支援の更新などは簡素化して、前回と同じ申請については面談等の手続きの負担をかけず申請通り更新するように働きかけてください。
・回答要旨・コロナ対応ということでは、所在地の区市町村に相談してもらいたい。必要なところがあればこちらからも対応する。・質疑の中では意見・回答要旨)そういうことではなく都として視覚障害者の障害特性に応じた対応をするように発信してもらいたい。発信していないか?⇒していない。障害特性に応じてとは国からも言われているが視覚障害者とは行っていない。⇒視覚障害者と具体的に例示して発信してもらいたい⇒意見としてうけたまわるが。

2.害者制度改革を、障害者権利条約にもとづき、上記冒頭文にあるように、障害当事者の意見をふまえた国と違憲訴訟団との基本合意(2010)や内閣府の総合福祉部会の骨格提言(2011)を尊重して、現在の諸施策をすすめるよう、都として国にひきつづき働きかけてください。

・回答要旨
政府の障害者計画を障害者政策委員会で検討して第4次計画を作ってきている。国の動向を注視して報酬単価の改善等を国に伝えていく。
・質疑の中で
代読)国は障害者基本計画を障害者政策委員会で検討して第4次計画を作ってきている。都として推進協議会で討議し議論しており、国に提案要望している。・質疑の中では意見・回答要旨)代読に驚いている。ここは最も基本的なところで、障害者権利条約へののぞみ方などをもっと聞きたかった

3.改正総合支援法で一昨年より高齢障害者の介護保険利用時の負担軽減として償還方式が出されていますが、償還は一旦高齢の障害者に現金負担させ償還手続きをする必要があり、収入の少ない高齢の障害者に財政と時間の負担をかけます。都の医療費の助成制度を利用する障害者は大変です。償還でなく窓口負担ない制度になるように国に引き続き働きかけてください。都としての対策を行ってください。
・回答要旨H30.3月の見直しで65歳以上の負担金の軽減償還制度ができた。しかし一度介護保険サービスを使うと障害者が一度1割を払わなければならないものであり、検討するように国に都として要望している。

4.同行援護は供給体制が十分でなく、使おうとしても利用できない状況が続いています。従事者の養成等を事業者まかせでなく、都として働きかけてください。一人で移動が困難な視覚障害者の学校の送迎や作業所への送迎でも利用できるよう報酬告示の改定を引き続き働きかけてください。また移動支援の送迎等の運用を区市町村に働きかけてください。
・回答要旨として同行援護の事業者を39指定しており、年間2000人を輩出している。区市町村の実施への補助や助成をしている。移動支援については区市町村の判断で実施しており、費用は国2分の1、都4分の1、と全体の4分の3の補助をしている。同行援護の利用については引き続き国に要望している。

5.報酬単価を引き上げるように国に引き続き働きかけてください。障害者を直接支援する業務に見合う賃金がだせ、必要な人材の確保と事業の質を維持できる額に引き上げてください。都としての補助・加算を一層おこなってください。一昨年の工賃の見直しでは以前の平均工賃月額にかわり就労継続支援B型では平均工賃月額に応じた報酬設定が行われ、改定前より下げる基本報酬部分を作ったことは、様々な事情のなかで就労している障害者の障害特性を踏まえたものとはなっていません。平均工賃月額での報酬設定はやめてください。そのことを国にひきつづき要望してください。また、「日払い方式」は「応益負担」の考えで事業者の経営を圧迫し、人材の確保を困難にします。障害者総合支援法で表現は「応能負担」となっており「月払い方式」に戻すように国に働きかけてください
・回答要旨30の基本報酬月額の改定で実績に応じたものが始まったが、重度障害や短時間の就労も受け入れている方々へのきめの細かな支援がもとめられ、国に要望している。日払いについても国に要望している。都の補助も月払いにしている。

6.障害の区分認定は、介護保険を前提にしたもので障害者の現状を反映していません。名称変更でも内容は変わらず、視覚障害は、「視力」の1項目だけで視覚障害の生活全般への影響、全盲や弱視、視野狭窄、夜盲、色弱など多様な視覚障害の実際を反映していません。視覚障害の現状を反映するように都として、国に引き続き働きかけてください。
・回答要旨分認定は国の制度でありマニュアルで実施している。視覚、ろう、聴覚などの障害もそれにもとづいて判断するとなっている。国に判断の公平性を担保するように要望している。

7.障害者・障害児地域生活支援3か年プラン」(以下「3か年プラン」)のグループホームの目標2000人へのH31(R1)年度の実績と到達を教えてください。「障害者・障害児施策推進計画」(以下「施策推進計画」)ではR2年度の利用者数見込み11759人となっていますが、どう達成するのか教えてください。「施策推進計画」とその中の「3か年プラン」はどう関連しますか。教えてください。私達は、視覚障害や重複障害などの重度対応のグループホーム整備を具体的にすすめてほしいのです。スプリンクラー義務化の免除規定で重度障害者が居づらくなることにたいして、一昨年の予定が昨年に遅れて実施されている重度への加算をはじめ都の新たな加算などの対策をひきつづきとってください。
・回答要旨3ヶ年プランでH30からR2までに2000名の定員増を目標にしておりR1の到達は10777名、2年間で1700名の増である。都として国の報酬に上積みした補助を行い、R1より重度受け入れへの人的体制を組んだところにグループホーム体制強化支援事業を行っている。また、整備費の特別助成として借地料の支援などをおこなっている。グループホームの設備加算も行い、消防助成として消防法のロ項ロについて450万円、ロ項ハについて120万円を上限に8分の7の助成を行っている。

8.ョートステイの利用は切実で、ぜひ増やしてください。「3か年プラン」の定員増の目標180人へのH31(R1)年度の実績と到達を教えてください。「3か年プラン」の180名はどう増やすか教えてください。「施策推進計画」のH31からR2の増分がサービス量(人日分)2541、利用者数326人をどう増やすか教えてください。「3か年プラン」の定員増とサービス量(人日分)、利用者数の関係をあらためて教えてください。
・回答要旨ョートステイのR1年度の到達は1199名、149名の増である。定員数はH30〜R2の3ヶ年プランでは3年で180名増の目標である。どう増やすかについては、国の報酬に上積みした補助を行い、都有地の活用、借地料の補助など用地の確保への支援を加算実施していく。

9.011年10月よりの国のグループホームへの家賃補助での、都の家賃補助の減額は大変遺憾です。障害者の家賃負担は大変です。消費税の負担も大変です。国の支給は事業者にいき利用者には来ません。都の家賃補助を元の額にもどして利用者の手元にいくようにしてください。
・回答要旨ループホームは3ヶ年プランでH30からR2に2000名の目標で設置促進しており、2年間で1700名増になっている。必要な予算も確保している。・質疑の中では意見・回答要旨)聞いているのは設置数ではなく、家賃補助を国の増額分を減らすのではなく2万円にもどしてほしいということであり、どうか⇒すぐには元には戻せないが、きびしいという意見もあり他の団体よりも聞いている。課題として見ている。⇒近年では良い回答だ。

10.都のおこなっている心身障害者の医療費の助成制度を維持し、現行の障害者本人に負担がなく医療にかかれる制度をひきつづき堅持してください。
・回答要旨害者の医療費の助成は、重度障害者の医療の困難性から区市町村民税の課税者には1割、非課税者は0で負担なし、ただし入院の食費はかかる制度である。今後も現行制度を考えている。

11.点字使用の視覚障害者へ都や区市町村の発行する書類は、点字で出してください。封筒への役所名担当課名の点字の記載は改善されてきていますが、申請期日のある書類の「申請期日あり」の封筒への点字記載はまだすすんでいません。都ですすめ区市町村に引き続き働きかけてください。
・回答要旨代読)点字の文書作成は都や区市町村がそれぞれ行っている。都印刷物取扱規程で点字の活用もふくめ様々な手段を明記している。

12.バリアフリー法、福祉のまちづくり条例により、「施策推進計画」の「ユニバーサルデザインの視点に立った福祉のまちづくり」にもとづき、視覚障害者用の点字誘導ブロックの増設、音響式信号機(新型スイッチ)とエスコートゾーンを警察と連携して増やしてください。「施策推進計画」では実施主体は東京都です。しっかりすすめてください。特に地元で要望の出ている所の設置をすすめてください。地元のバリアフリー地区別計画の地域内での設置のすすんでいないところがあります。ぜひすすめてください。点字誘導ブロックや白杖、視覚障害者への理解啓発と喚起、自転車使用者への白杖の周知啓発、盲学校周辺での所在の広報などをつよめ、区市町村に視覚障害者に関する理解啓発をおこなうように、ひきつづき働きかけてください。
・回答要旨祉のまちづくり条例で視覚障害者への点字誘導ブロック整備について基準を定めて行っている。横断歩道での音響式信号機やエスコートゾーンについてガイドラインを作り普及啓発しており、心のバリアフリー、情報のバリアフリー等をすすめ、ハンドブックを作り理解促進に向けて支援をすすめている。

13.視覚障害者の障害特性をふまえて駅でのホームドアの設置は急がれます。ホームでの転落死亡事故が後を絶たず、先月にJR阿佐ヶ谷駅で転落死亡事故がありました。ここでの設置方針は2032年度末とのことで遅すぎます。JR山手線の計画も、今年度は残り3駅中1駅です。テンポを早めてください。片側のみの設置は危険で、両側同時設置を都内の鉄道事業者に都としてあらためて働きかけ、また、国に働きかけてください。都営地下鉄新宿線は昨夏に設置完了しており、浅草線の2023年度完了計画を早めてください。また、乗降客10万人以上の都内の未設置駅で2020年度までに整備予定の37駅は確実にすすめてください。国交省の乗降客1万人以上の駅への内方線の一昨年度までの設置で、都内対象622駅中残った1駅の予定はどうでしょうか。一昨年からお願いしている駅ホームでの案内放送で「黄色い点字ブロックの後にお下がりください」との案内はすすんでいますが、現在の実施事業者と実施状況を教えてください。点字誘導ブロックの啓発にもなるので広げてください。
・回答要旨阿佐ヶ谷駅で転落死亡事故は痛ましく深刻である。駅ホームドアの設置は順次条件のそろったところからすすめていく。駅ホームドアの設置は基本両側設置ですすめており、山手線のみの駅ではすすんでいる。国と鉄道事業者で連携してすすめている。乗降客1万人以上の駅への内方線の設置は622駅ですすみ、あと1駅の多摩駅も今年度中に設置予定である。黄色い点字ブロックという案内放送は昨年より1社増えて8社であるが、準備中は2社で減っている。都営で残った浅草線は未設置15駅でR5(2023)年度までに完了する。朝夕のラッシュ時や、見通しの悪い駅では終日に駅員を配置している。・質疑の中では意見・回答要旨)阿佐ヶ谷駅ではホーム下は入れる構造ではなかったか。今できる対応はないのか。⇒シートを早急に設置し、国も構造的なことを調べは始めている。

                       
                 

                               
                
 尚、<回答要旨、質疑要旨>については、視覚障害児(者)親の会東京支部の責任でまとめました。問い合わせ等は、視覚障害児(者)親の会東京支部へ行うようにしてください。
 ・視覚障害児(者)親の会東京支部への問い合わせメール

  



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