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<東京都への要望書(2006年)の紹介> 
  要望書                          
                                 2006年7月
                   全国視覚障害児(者)親の会東京支部

 今年4月より施行された障害者自立支援法が、障害者の現在とこれからの将来にとって憂うべき事態であると痛感しています。
 私たち視覚障害児(者)の親は、視覚に障害をもった子供たちがすこやかに社会生活をおくっていくことができるように、学齢期や卒業後の社会参加のなかで、その持てる力がのばされ、成長していくことを望んでいます。
 そうした中で、社会での障害者施策は様々にすすめられつつありますが、実際のところ視覚障害者にかかわるものがまだ限られています。私たちは障害者施策をよりつよめてもらうとともに、それが視覚障害者に十分な配慮されたものであることを切に望んでおります。
 ところが、4月より施行された障害者自立支援法は、通所や入所等の障害者施策を利用している全ての障害者に毎月数万円の新たな負担を課しており、今後の判定では、現在利用している施設を利用できなくなる事態も生まれかねない状況もあり、現在到達している障害者施策と障害者の生活が根底からゆらぎかねない事態となっています。現在の障害者施策を利用している障害者にとっての利用が制限され、また後退させられるようなことがあってはいけません。
 障害者、そして視覚障害者の現在と将来のために東京都に次のことを要望いたします。
                               
福祉保健局関係                       
1.障害者自立支援法の施行にともない、障害者本人の負担が激増しています。施設の通所者・入所者は月に数万円の新たな負担増となっています。こうした事態への支援策をとってください。現行の負担をこえるものについては都が補助するようにしてください。負担の上限を本人の収入に見合ったものに下げてください。
 また、国にたいして、障害が重く多くの障害者施策を受けている障害者の負担が重くなり、障害者の自立からかけ離れてしまう「応益負担」をおこなわないように働きかけてください。
2.負担の基準となる収入は本人のものに限り、自立ではなく家族への依存になる世帯単位の所得の算出おこなわないように、都福祉保健局としての表明をし、国に要望してください。
3.新たな障害程度区分は、現在の利用状況を反映させたものにしてください。この新たな障害程度区分によって、現在利用している施設やサービスがうけられなくなってはいけません。そのような障害程度区分の方法は、障害者の現状を反映しない不十分な区分方法であり、改めてください。介護保険の要介護認定調査項目をベースにしての判定は、障害者の状況を反映するのには無理があります。今まで行ってきた障害者の現状を反映させる方法をとってください。
4.「(区)市町村の審査会」に障害者本人および障害者団体、障害児(者)保護者団体が参加できるようにしてください。
5.障害者自立支援法の施行後、事業者が通所施設等での運営においてうけとる費用が、利用者の1日毎の利用によっており不安定になっています。通院や本人の状況等での通所減はおこるのであり、運営の安定性をはかる財政的措置をとってください。また、以前の月毎の事業者への支払いにもどしてください。「ホテルコスト」という言葉もでていますが、ホテルならば、「お客」のキャンセルがあれば、他の「お客」をとることが出来、また、訪問介護事業所では、キャンセルにたいして他の利用者への訪問も可能です。しかし、定員で契約している障害者施設ではそういうことは出来ません。
 事業者の運営が不安定になると、障害者への理解のある専門性をもった職員が安定して集まらず、利用者への不安定なサービスの提供となります。
6.都のおこなっている心身障害者の医療費の助成制度を維持し、現行の障害者本人に負担がなく医療にかかれる制度を堅持してください。
7.点字使用の視覚障害者がガイドヘルパー等の諸制度をつかう場合、点字の契約書を準備してください。都が指定している指定事業者にこのことを指定者として義務づけてください。点字書類作成にむけて実際に活用できる簡便で廉価な方法を示し、実効をもたせてください。また、区市町村が発行する受給者証についても、点字使用者には、点字のものを提供するように働きかけてください。
8.ショートステイ(短期入所)の利用できる場所をふやしてください。
9.特別養護老人ホームでのマッサージ師雇用のための補助金をひきつづきカットしないでください。
10.福祉のまちづくり条例にもだされているような視覚障害者への点字誘導ブロックへの理解啓発をはじめとする視覚障害者へのマナーの喚起や広報、白杖への理解啓発、盲学校周辺での所在の広報などをつよめてください。区市町村に視覚障害者に関する理解啓発をおこなうように働きかけてください。

                            
教育庁関係
1.特別支援学校において、視覚障害教育の専門性を確保できる措置を具体的にとってください。感覚障害としての視覚障害者への教育にふさわしく、その特質と専門性をいかした学校運営をすすめてください。都の特別支援教育の中での視覚障害教育にかかわる盲学校のあり方をしめしてください。
2.視覚障害者への教育をすすめる上で盲学校のセンター的役割がもとめられており、コーディネーターや地域への支援・援助に係わる要員が必要であり、現在の定員内では在校児童生徒の学習や訓練に支障をきたします。関係する職員の増配置をおこなってください。
3.視覚障害者にとって通学を保障し、生活経験、社会性をまなぶ大事な教育の場としての寄宿舎については、感覚障害としての視覚障害教育の特性をしっかりとふまえ、現在の寄宿舎は存続させ、統廃合等はおこなわないでください。
4.視覚障害教育の専門性の向上をはかるため、視覚障害教育にかかわる研修をすすめてください。盲学校免許保有者を配置し、盲学校の勤務教員全員を取得させてください。要望のある必要な場に言語聴覚訓練士を配置してください。
5.盲学校の休業中に、卒業生も参加し利用できる企画などを充実させてください。
                                        


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